<10>10年以上ジャニヲタの私が洗脳努力を続けても一切揺らぐことのなかった幼馴染みが、20代半ばにしてKis-My-Ft2を通して突然ジャニヲタになってしまった問題

「早く私が慧くん好きになったこと、
ブログに書いといてよ!!」

と本人からの苦情が出ましたので、早急に筆を取らせて頂きます。こちらのシリーズ初めましての方は、ようこそ。お久しぶりの方、お待たせ致しました。こんなに長編シリーズになるつもりではなかったので、タイトルをもう少し短縮したものにするべきだったなと後悔しているし、もう既にKis-My-Ft2の話はほとんど出て来ないことをお許し頂きたい。これまでの経緯はこちらでご確認を。<1><2><3><4><5><6><7><終><復活>。簡単にあらすじを説明すると、去年秋にKis-My-Ft2玉森裕太さんを入口にしてジャニヲタになった私の幼なじみが、紆余曲折を経てHey!Say!JUMP山田涼介さんにハマった、というのが前回までのお話。そして今回はもう既に冒頭で盛大にネタバレをしている通り、彼女が山田涼介さんを一瞬にして通り過ぎ、伊野尾慧さんにハマった話をしたいと思います。結論を先にお伝えしたので、忙しい人はここで右上の×ボタンを押して頂いて大丈夫です。それでは暇な人だけレッツ、スクロール!

私は先日「渡したいものがある」と彼女を近所のカフェへ呼び出した。アイスティーをストローでスースーと吸い上げながら「ごめん、私何か忘れ物してたっけ」と彼女はきょとん顔で私に尋ねる。私は家を出て来る時に押入れの奥の方から取り出してきた、大きめの怪しげな薄っぺらい袋をそっと彼女に差し出した。彼女はこの時点でも何が入っているか分かっていない様子で、そっと袋の中を覗いて、「アッ♡」という吐息を漏らしながらゆっくりとにやついた。

「慧くん♡」

袋の中には先日私が横浜アリーナで買ってきた伊野尾慧さんの団扇が入っていた。横浜アリーナで私は誰も選べないからという理由でHey!Say!JUMPの団扇を全員分購入していた。その中の伊野尾さんの団扇を彼女にプレゼントしたのだ。その経緯を説明したところ「もしかして、慧くんだけ要らないの?」とハッとした表情で私は問い詰められた。そんな訳あるか。誰も選べなくて全員分買ったけれど、私の家で行儀よく収納されるよりも誰かの元で愛でられた方がさぞかし団扇も喜ばしいだろうと思って渡したんだよと言ったら納得してくれた。「ンフフ♡」と言いながら不気味な笑み(※褒めてる)を浮かべる彼女を見ながら、夏にキスマイコンのお土産として渡した玉森さんの団扇は彼女の家でどうなっているのだろうとふと思った。

この時点で彼女は既に伊野尾慧さんの虜だった。正確に言えば前回私と一緒にHey!Say!JUMP鑑賞会をした翌日にはもうすっかり伊野尾慧さんの虜だった。山田涼介さんを入り口にして、その先にある伊野尾慧さんに見事にするすると吸収されていった。玉森さんの時は「玉森くん♡」と呼んでいたはずなのに、いつの間にか「伊野尾くん♡」ではなく「慧くん♡」と呼んでいたし(※私はそんな呼び方をしていないので、彼女が自発的に呼び始めた)、月末に通信速度制限がかかるくらい「慧くん♡」の画像を夜な夜な集めてカメラロールに保存していた。

ここでそもそも伊野尾慧って誰よ?と思っている読者の方がいらっしゃる可能性があると思うので、伊野尾慧さんの説明から始めてみよう。伊野尾慧さんとは、エース山田涼介さん率いるHey!Say!JUMPのメンバーで、デビューから数年間ファンの間では「Hey!Say!JUMPの最終兵器」ないし「秘密兵器」とまことしやかに語られて来た。そう語り継がれて来た要因の一つとして、まず絶世の美人であることが挙げられる。美しい。エース山田涼介さんの美しさに負けず劣らずの美しさを誇っている。パールの様に白く輝く肌を持ち、中性的な容姿から女が見てもうっとりする様な色気を放っている。そしてその美しい顔の裏側に回れば頭脳明晰、アイドルをやりながら明治大学理工学部建築学科をきっちり4年間で卒業している。大学の文系学部を卒業したアイドルは数知れないが、彼の場合は理系学部をストレートに卒業している。その経歴から並々ならぬ努力家であることも伺える。そして彼の最も「最終兵器」と言わしめる理由は、その聡明さから来るギャグセンスの高さである。大学生活4年間を経験して他に比べて一般人と触れ合う機会に恵まれた彼は、アイドルが武器として身につけたネタ的な笑いとは一味違った、不意に零れ落ちる様なシュールな笑いを生み出すことに長けている。大学在籍中は他のメンバーと比較すると仕事が少なかったが、卒業して以降バラエティやドラマで活躍する機会が増えて来て、現在着々と伊野尾慧の才能を世に知らしめている最中だ。

そう、そんな最終兵器に我が幼なじみはまんまと捕らえられたのだ。伊野尾さんに対しても「よくやった」と言いたいし、幼なじみにも「よくやった」と言いたいような、もはや私の視点迷子状態である。一瞬にして誰かの心を奪ってしまうように伊野尾さんの美貌が本物であることが分かったし、美人は3日で飽きると言われるが、3日では到底飽きることが出来ない伊野尾さんのユニークな性格で、来る日も来る日も彼女の心は侵食され続けていった。そして彼女はもうすっかり玉森さんの話をしなくなった。

そう、これが世に言う「担降り」というやつだ。

ジャニヲタ人生の中で時によっては最も重大なイベントとも捉えられる「担降り」。先日も私がTwitterでとあるジャニヲタの方が担降りしたブログのURLを貼り付けてツイートしたら、2日で2000RTという早さで拡散されていった。ちなみにその方も伊野尾さんへ担降りしていたので、勝手に伊野尾さんブームが来ている気になっている(私の周りでの該当データは2件しか持ち合わせていないが)。誰かを選ぶということは、誰かを選ばないということで、新しいものを選び取る決断よりも、今まで追いかけてきたものを突然手放す決断の方に、心を痛めたり悩んだりしている姿をよく見かける。かくいう私も自称「担降り中毒」なので、その手の決断は何度もしてきた身ではあるが、私にとって「担当する」とは、「誰かの物語を読み込むこと」なので、自由気ままに物語を読んで次の物語を読みたくなったタイミングが私にとっての「担降り」にあたる。物凄く面白くて楽しい本を読んだ後に少し余韻に浸りつつも、次にまた面白い本を見つけてしまってそっちを読み進めようとする時に、何とももどかしい気持ちになることがあると思うが、そんな感じである。本屋さんであの本も読みたいしこの本も読みたい、けれど本を買えるお金は限られているし、読める時間も限られている。同時に2冊の本を読み進めることは難しい。二兎を追う者は何とかと言うように、1冊をじっくり読み進める場合とでは読み込み方が違ってくる。そんな葛藤の末、「担降り」が生まれるのだと私は自分自身の体験から感じている。

幼なじみ自身は今回の心変わりについてそこまで深く考え込んではいないが、1年前ジャニヲタになり、まさかこんなハイペースで「担降り」まで経験することになるとは思わなかった。順調にジャニヲタの階段を上がっているように思える。「慧くん♡」への気持ちもまたいつまで続くか分からないが、彼女が飽きない限り、このシリーズも続けていく予定だ。