『これでいいのだ!』は勝ち確ソング──『WEST. LIVE TOUR 2026 唯一無二』


2年振りにWEST.のライブを観に行った。去年のツアーは関東公演の日程と私の都合が合わず、観れないまま終わってしまった。しかし今年の正月公演の配信を観て、「やっぱりWEST.を観続けたい」と改めて思ったのだった。
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日々、目の前に迫ったライブの予習をするので精一杯で、WEST.の最新アルバム『唯一無二』を聴き始めたのはライブ前日。大変恐縮なのだが、一周聴いただけで「これ、めちゃくちゃ名盤なのでは…?」と気づく(遅い)。昔のTwitterなら、楽曲派のオタクたちがこのアルバムを絶賛していたのでは?!と思ったが、今もそういう人たちはいるのかもしれないが、私のアルゴリズムがそれを拾えていなかっただけなのではないかと反省する。

何が良いって、まずリード曲『これでいいのだ!』が最高に良い。WEST.のハッピーで騒々しく、それでいて親しみやすいアイドルとしての魅力が一曲の中にぎゅっと詰め込まれている。こんなにもWEST.にぴったりの曲を書ける作家がついてるんだなと思ったら、作詞・作曲・振付のすべてを手掛けているのは重岡大毅さんなのである…!(卒倒)主人公だと思っていた人が、その物語の書き手としても優秀だったという衝撃に、何度でも驚いてしまう。アイドルグループでクリエイティビティを発揮する人の相場は、たいていセンターではなく横で支えるメンバーだ。センターに立ちながらクリエイティビティも発揮し、グループの最大公約数を見極めて、これ以上ない正解の曲を作れるアイドルはそうそういないのではないだろうか。しかも「何がなんでもこれでいいのだ!」というフレーズには、すべてを肯定して包み込むような救いがある。誰に何と言われようとも、自分たちの信じた道を進むというWEST.の決意表明にも聞こえるし、「あなたもそのまま進んでいいんだよ」と私たちの背中を押してくれているようにも聞こえる。この曲がリード曲として収録されている時点で、アルバム『唯一無二』は勝ち確だし、この曲から始まるライブもまた勝ち確なのである。
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2年前、WEST.の10周年ライブを観たとき、「アイドルのライブでは私たちはモブとして存在しているつもりだけれど、WEST.のライブは私の人生の主人公は私だったと思い出させてくれる」という感想を書いた。それは、WEST.がバンド形式で熱いメッセージ性のある楽曲を披露し、重岡大毅さんが主語を私たちにした言葉をたくさん届けてくれていたからだと思う。その形は王道アイドルとは少し違っていたかもしれない。でも、WEST.が自分たちなりのスタイルを見つけたようで、その独自性が私は結構好きだった。他のアイドルのライブは、「非現実をとことん堪能して現実へ戻る」という感覚がある。ライブで得たエネルギーを、自分の中で日常を生きるためのエネルギーへと変換して、現実を生きる。一方でWEST.のライブは、ライブ最中から直接、日常を生きるためのエネルギーを注入されているような感覚がある。この違い、うまく伝わるだろうか。それこそがWEST.のオリジナリティだなと思っていたのだが、今回のライブでは、より彼らの本質的なオリジナリティが強化されていたように感じた。

SUPER EIGHTが関西の雰囲気を纏って『浪速いろは節』でデビューし、WEST.もまた関西色の強い『ええじゃないか』でデビューした頃、「関西ジュニアから生まれたグループは、みんなこの関西色を背負って生きていくのだろうか」「彼らはどうやって差別化されていくのだろうか」と疑問に思っていた時期があった。けれど年を重ねるにつれ、SUPER EIGHTもWEST.も、関西色だけではない自分たちのカラーを確立していった。そして、その後にデビューした関西出身のグループたちは、あえて関西色を前面に押し出さない方向へ進んだ。だからこそ今は、逆説的に“関西を背負うこと”そのものが価値になりつつあるのだと、今回のライブを観て感じた。『大阪とんとんダンス』や『しらんけど』など、関西の人が普段使う言葉だけで、こんなにも長くアイドルとして遊び続けられるのかと感動してしまう。また、『アカンLOVE〜純情愛やで〜』などでパラパラを踊っても、不思議と古臭さを感じない。そこに懐かしさを感じるのではなく、このライブを通じてパラパラの楽しさを今の時代に再発見できるような吸引力がある。それはWEST.自身が、関西らしさや平成らしさも心から楽しんでいるからなのだと思う。デビュー当時から持ち続けてきた関西色が、今改めて彼らの強みとして価値を発揮しているように感じた。

そして終盤で歌われる『リプライ』が、めちゃくちゃに良い。

あなたを笑わせたい 励ましたい 弱さをこぼせる相手でいたい
格好つけだって 格好つき切らなくたって とにかく笑って 笑ってくれたらいい

アイドルはよく「みんなを笑顔にしたい」と言う。でも、この曲は「笑顔にしたい」ではなく、「笑わせたい」と歌うところがとても良い。「笑顔にする」は、口角が上がるような穏やかな表情を思い浮かべる。一方で「笑わせる」は、思わず声を出して笑ってしまうようなニュアンスがある。それがWEST.のスタンスにぴったり重なる。そして、アイドルは格好つけるものだと思われがちなのに、「格好つき切らなくたって」と歌う。WEST.の曲は、パーフェクトを正解とは言わない。それは重岡さんが作った『これでいいのだ!』にも通じている。私もあなたも完全体じゃなくていい。私らしく、あなたらしくいられたらいい。そんなふうに言ってもらえている気がして、優しい世界に包まれる。そしてこちらも、「WEST.が笑っていてくれたら、それでいい」と思えるのだ。

というわけで、2年振りに観たWEST.のライブも、変わらず大好きだった。 WEST.のライブに行くとき、私は「絶対にハッピーになって帰ってこられる」と信じている。たとえ予習が十分でなくても、絶対に笑って帰れるという根拠のない信頼がある。その信頼を今回のライブでまた強くしてもらった。また次も、笑いに行きたい。