『to HEROes 〜TOBE 1st Super Live〜』@東京ドーム


体感として短かったか長かったかで言われると北山さんのライブをする姿を見るまでは意外と短かったように感じる。とは言え最後に北山さんがステージに立つ姿を見たのは、2023年5月のSHOCKなので約10ヶ月前。その間にKis-My-Ft2の卒業(旧ジャニーズ事務所退所)とTOBE入所、シングルリリース等様々なイベントが目白押しだったので、ただ推しの姿を見ることができずに過ぎた10ヶ月間とは違い、慌ただしく過ぎた10ヶ月間だったように思う。

TOBEが東京ドーム公演を計画しているという話は、噂レベルで秋くらいからあった。旧ジャニーズ事務所のアーティストが東京ドーム公演をやる場合でも日程はせいぜい3日間くらいが相場で、今回TOBEが4日間やると発表された時には驚いた。Number_iのメンバーの人気があるとは言え、4日間埋まるのだろうかと余計な心配をしていたら、1名義ではしっかり1公演しか取れなかった。全滅したという情報も見かけたので4公演やっても倍率が十分に高かったことが伺える。
三宅健さん、北山宏光さん、Number_i、IMP.、大東立樹さん、と所属メンバーは限られており、またリリースされた楽曲もそれぞれ少ないなか、どんなライブをするのか?トークメインなのか?あまり想像が追いつかないまま初日がやってきた。私は2日目を見に行ったが、今回はライブの前半部分が撮影OKとされていたため、初日の夜に瞬く間にライブの様子を撮影された動画がXのタイムラインを駆け抜けた。ネタバレをあまり踏みたくない気持ちと、ある程度の心構えをしておきたい気持ちの両方があったので、積極的に検索はかけないものの、流れてくるものは自然に摂取していった。北山さんが大型の乗り物を操縦しながら東京ドームの外周を回って登場するということは理解した。

当日は平日だったので仕事を終わらせて東京ドームへ駆けつけた。一緒に入る友人も仕事がありギリギリになるとのことだったので席で合流した。東京ドームにはもう人生で何回入ったか分からないが初めてのエキサイトシートだった。椅子が柔らかくスペースもゆとりがある。しかも北山さんが登場する3塁側。見応えは抜群そう。合流した友人は前日も入っており、開演までの間に色々と前日の様子を聞いた。撮影OKの現場はありがたいものの、撮影することに集中した方が良いのか、肉眼で見る方に集中した方が良いのかブレる、ということだった。私も撮影OKライブはINIで経験があるのでよく分かる。平野くんを見たい友人とは、北山さんが出ている時は友人が撮影を担当し、平野くんが出ている時は私が撮影を担当する、という業務分担することで合意を得た。友人とは2009年にお互いHey! Say! JUMPのファンとしてmixiで知り合ったのだが、15年の時を経てまた同じ公演を隣で見ているということは何だか感慨深い。

北山さんはIMP.の次、2組目に登場した。予習通り大型の乗り物を操縦して『JOKER』を歌いながらの登場だった。私は今までの北山さんを見てきた時と同じように双眼鏡を覗いた。数年前に東京ドームでも十分に見えるようにと買った24倍のズーム機能のある双眼鏡。それで北山さんの一挙手一投足を見逃すまいとひたすら姿を追いかけている時間が好きだった。しかしソロになった北山さんにそれはもう必要がなかった。東京ドームの大きなモニターにはひたすら北山さんしか映らない。他のメンバーが映ったりして「見逃す」なんて概念はここにはもう存在しないのだ。それがソロになったということだと理解するまで少し時間がかかった。双眼鏡を覗けば視界には北山さんしか映らなくなるのでセルフマルチアングルが完成し、また自分が北山さんを一生懸命見るために能動的にその努力をしているからこそ得られるものだと思っていたのに、会場中が大きなモニターで北山さんのマルチアングルを努力いらずで堪能していることに慣れないままでいた。

北山さんのパフォーマンスは最高だった。歌もダンスも演出もやりたいことが反映されていて、北山さんの北山さんによる北山さんのためのステージがそこにあった。最初に配信リリースされた『乱心-RANSHIN-』(本人作詞)は、歌詞の中に「絶品アンチ もうオーバードーズ 完全に支配 超楽勝にノル奴 この指とまれ」「ゆらゆら刻を 転がればパラダイス 正直...転生なんか待てないSick」というフレーズがあり、それくらいの気合いで新しい世界へ飛び出したというメッセージを乗せているのかもしれないが、やや挑発的な歌詞だなと思っていた。しかしステージを見るとそれが北山さんの本心として解き放たれているというよりは、北山さんがそういった一面を演じているように感じられた。北山さんが新しいことを始めるにあたり不安な様子を見せている場面はなかったけれど、これが一番初めに音楽として発信したメッセージなのだとしたら、自分を奮い立たせるためのドーピングのようなものだったのかもしれない。

三宅さんは44歳とは思えない儚さを纏いながら「悲しいほどにアイドル」というフレーズを引き続き背負っていた。三宅さんが新しい場所でアイドル人生を延長することは、それより年下のアイドルを応援している身からするととても希望で、何歳になってもアイドルをやっていいんだということを証明し続けていて欲しいと勝手ながら思う。Number_iの『GOAT』のパフォーマンスはとにかくすごかった。恐らく会場にいる人のほとんどが旧事務所から応援している人で、みんな何かしらのモヤモヤを経てこの会場に来ていると思うが、そういったモヤモヤをパフォーマンスで全て捩じ伏せるかの如く、会場を一体化させていた。『GOAT』は撮影OKブロックではなかったが、撮影OKにして世の中に拡散すべきパフォーマンスだったのではないかと思う。IMP.は最初にTOBEからデビューしたこともありどんな動きをするのか私も当初注目していた。Kis-My-Ft2のライブのバックについていた時から思っているが、センター佐藤新さんの表情管理は天才的で「不敵な笑み」をやらせたら彼の右に出る者はいないのではないかと思っている。大東くんは初めて拝見したけれど、透明感と初々しさが宝物のようだった。白い衣装を纏ってバラードを歌う姿は、何とも言い難い上品な吸引力があった。

ライブの中盤では小さな子どもたちがわらわらとステージ上に登場する。そしてwink firstという小学生くらいの男の子たちで結成されたグループがお披露目された。それはここまでに登場した、自分たちのやりたいことを実現するために旧事務所を離れた自立した先輩方とはあまりにかけ離れた、未成熟な男の子たちだった。披露された楽曲もとても可愛らしかったのだが、この1年旧事務所が社会から問われ続けてきた問題を考えると、このタイミングで若年層の少年たちをTOBEが初めてゼロから育てるアーティストとして世の中に出すのはやや挑戦的ではないかと思えた。滝沢さんが旧事務所で最後に見ていたのがJr.と呼ばれるまだ未成熟な男の子たちで、その子たちを育てあげていく過程に滝沢さんの本当にやりたいことがあるのだとしたら、三宅さんや北山さんやNumber_iなどある程度成熟したアーティストを在籍させる意義とは、と色々なことが頭を駆け巡った。とは言え私は滝沢さん自身が現役のアイドルだった時、滝沢さんが作るコンサートがとても好きだったので、ファンファーストな部分への信頼は置きつつも、まだTOBEに全身を預けて良いものかどうかは見極め段階にあると思っている。

東京ドーム公演の2日目にライブを見にいき、最終日はAmazonプライムの配信を見た。配信は乱れるようなこともなく滞りなく行われ、TOBEのお披露目としては十分なお祭りだったように感じる。最終日の最後には、それぞれのアーティストの単独公演が有明アリーナで6月に開催されることも発表され、Amazonプライムのアーカイブ配信も決まった。飽きさせないスピード感がすごい。次は有明アリーナで北山さんを見られるのだろうか。アリーナの規模感で、今度こそたった一人で、北山さんがどんな風にそこに存在して、私の感情はどんな風に揺さぶられるのか、今から楽しみでいる。
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