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12月1日からPrime Videoで配信されている玉森裕太さんの単独ドキュメンタリー『玉森裕太 MODE』がめちゃくちゃに良かったので見終わった勢いのままブログを書いている。本作は玉森裕太さんがKis-My-Ft2の衣装監修として2024年・2025年のライブ衣装作りに携わる姿を軸に、ドラマのボクサー役に向けた身体づくり、海外ファッションイベントに参加など、多面的な活動が丁寧に描かれている。
これまでKis-My-Ft2の中での玉森さんには自分から多くを語らないイメージがあった。しかしこのドキュメンタリーでは、玉森さんがどんな考えでアイドルを続け、衣装を通じて何を見せたいのかを、言葉を尽くして語っている。ふんわりした優しい雰囲気はそのままに、こだわる分野では決して妥協をしないプロフェッショナルさが随所で感じられる。
一番印象的だったのは、2024年のストーン・安全ピンを使った衣装に対するこだわりだった。ジャケット全体に散りばめられたストーンは総重量8kg。約3000個をスタッフが手縫いで付けているにもかかわらず、玉森さんはさらに細かいストーンで隙間を埋めたいとリクエストする。密着ディレクターから「遠慮はしないのか」と問われた際、彼は「難しいけれど後悔しないように無理をお願いすることもある」と答えていた。一見するとスタッフに過酷な作業を課しているようにも見える。だがその後、夜遅くまで作業に追われる衣装スタッフと一緒に、翌日に本番を控えているはずの本人が残ろうとする姿が映し出される。妥協を許さないからこそ、自分にできる形で支えようとする。その姿に、周囲が彼を信頼し、動かされる理由が凝縮されていた。
もう一つ印象的だったのが、ドラマに向けた役作りだ。当時の玉森さんはビジュアルが大きく変化していて「相当努力を重ねていたのだろうな」と思っていたが、4ヶ月で十数キロ増量し、そこから筋肉を残して減量するという、ハリウッド俳優のようなストイックさだった。「何をモチベーションに頑張っているんですか?」と問われてこう答えていた。
いや俺も嫌っすよ。頑張んのあんま好きじゃないけど、でもこの仕事は本当に次から次へと新しい人たちが来るじゃないですか。ニューフェイスが。だからやっぱ努力し続けないと。
アイドルって賞味期限あると思ってて。だからいろんなこと挑戦して、自分の道を見つけなきゃいけないと思うし、年はとるじゃないですか、遊んでたって何してたって。頑張れるうちに頑張っとこうって。
また減量期間にはこういう話もしている。
自分で言うのもアレだけど絶対俺精神力強いもん。(ディレクター「追い詰められてる感覚ないですか?」)何度もあり過ぎて慣れちゃった。デビューしたばっかの時とか。デビューして2年目、3年目くらい、しんどかったマジで。よく俺禿げなかったな。でもそれがあったから今この状況かなって思えれば。あんだけ死に物狂いで生きてた。
玉森さんの精神力の基盤には、デビュー直後のプレッシャーを乗り越えた経験があると分かるシーンだった。Kis-My-Fr2がデビューしたとき玉森さんはジュニア時代には立っていなかったセンターのポジションに突然立たされた。当時本人の意思が追いついていないだろうなという戸惑いはファンにも伝わっていた。自分に向けられる視線の変化に戸惑いながらも、玉森さんはセンターに立ち続けて“キスマイの顔”になってくれた。もともとはセンターに立ちたいタイプではなかったかもしれない。でも、玉森さんがセンターを担ってくれたKis-My-Ft2の物語が私は大好きで、彼らを追いかけてきた理由のひとつでもある。あの頃の苦しさを乗り越えたからこそ、今の強さに繋がっているのだと思うと、なんて美しくて逞しい物語を好きでいられたのだろうと胸が熱くなった。
そして、8ヶ月のトレーニングの末に撮影されたボクシングの試合シーンが「3分」だったと明かされる。
一瞬ですよ。一瞬で終わります。でもそれが仕事だしね。あの一瞬だけど、あの一瞬で、評価はするじゃないですか。もちろん視聴者の方含め、テレビ局の人だったり。いっぱいやってちょっとだけ報われるみたいな感覚。これが努力なんだろうな。
たった3分の試合シーンのために8ヶ月。ただトレーニングをするだけでなく、食事制限など生活にも影響があったはず。「いっぱいやって少し報われる これが努力」だと言われたら、多くの人類が努力をしていないことになってしまいそうだ。玉森さんの3分のためにも努力を絶やさない・妥協を許さない姿勢を一番実感する場面だった。3分なら撮影方法で何とかすることもできたはずだが、きっとコスパとか、タイパとか、そういうことではない。努力している自分の姿が誰かの希望に繋がる、それこそがアイドルの役割だということを示しているように見えた。
優しい雰囲気にコーティングされているから忘れがちだが、デビュー以降ずっとKis-My-Ft2の顔であり続けた玉森さんは、とても強い人だ。そのことを改めて認識させてくれるドキュメンタリーだった。アイドルがライブの衣装のために海外で生地を買い付け、重さ8kgのジャケットを妥協なく作り上げ、身体を極限まで追い込んで役作りをする。アイドルに興味がなくてもファッションや表現が好きな人にも届いて欲しい内容だったし、これをきっかけにキスマイのライブのクオリティを知る人がもっと増えたらいいなと思う。