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<1>10年以上ジャニヲタの私が洗脳努力を続けても一切揺らぐことのなかった幼馴染みが、20代半ばにしてKis-My-Ft2を通して突然ジャニヲタになってしまった問題

それは私が東京ドームでのNEWS10周年コンサートを終えてホテルに戻り寛いでいる時に起った。ピコン。iPhoneのLINEにメッセージが到着したことを知らせる通知音。送信元は幼なじみ。

「ねぇ、キスマイってMV集みたいなDVDある?」

頭の中が疑問符でいっぱいである。彼女はジャニヲタの私の幼なじみでありながら、ジャニーズにほとんど興味が無かった。何の前置きもなく飛ばされたそのメッセージは、恐らく彼女自身が知りたい内容ではないのだろう、彼女の友人がキスマイに興味があるのだろうか、と自然に考えが発展した。私は知り得る限りの知識でそれにすぐ返答した。彼女からの返信はこうだった。

「ハマりこむ自分が怖くて言えなかったけど、私キスマイの虜になりそうです…」

お前かよ!!!!!!!!!!!!!!(笑)まさかの展開だった。だってだってあんなに私が普段からジャニーズの話をしても響くことのなかった彼女が、自ら引力を感じてキスマイの世界に飛び込もうとしているなんて。私はキスマイに負けたのだという敗北感1個と、幼なじみをこちら側へ引きずり込んだキスマイへの敬意99個を持って、遠征から帰ったらすぐさまキスマイ鑑賞会をしようと幼なじみと約束をした。そして今日それに行って来たのである。

まずは聞き取り調査から開始する。どういう経緯でジャニーズにハマり込むのか、その過程と熱量には大変興味がある。私がジャニーズの話をする時、彼女は藤ヶ谷さんのことをたまに話題に上げていた。藤ヶ谷さんが出演していたドラマについてや、藤ヶ谷さんの容姿が彼女の好みに合っているという話を少し聞いていたので、「やっぱり藤ヶ谷さんが入口だったか」と問うが彼女はそうではないと首を振るのである。確信的にそのルートだと信じて止まなかった私は、二度目の“まさか”に遭遇するのである。

「藤ヶ谷さんじゃない人に惚れ込んでしまったから、自分でも動揺してるんだけど、ハマったのは玉森くんなの」

もう典型的な落雷型である。幼なじみの元に玉森裕太さんという雷が落ちたのである。彼女は嬉しそうに自分のスマホの壁紙を見せてくれた。そこにはいつだかのツアーTシャツを着た玉森さん。続けてデータフォルダの中にある最近取得したお気に入りの玉森さんの写真も幸せそうに一枚一枚見せてくれて、この写真の何処が好きかを解説してくれるのである。思ったより重症のようだ、最高だ。「捨てられた子犬みたいで可愛いでしょ♡」と玉森さんに勝手に不憫な設定まで付けて語っている姿を見て、彼女の今回の心意気が相当のものであることを実感する。とは言え、グループのエース的存在を好きになるミーハーな人がいることは珍しいことでもない。彼女もそのパターンなのではと一瞬疑ったが、一緒にライブDVDを見た時に、全メンバーのそれぞれの良さを真剣に語っていたことが、その疑いを晴らすための十分な要素だった。

私は、その場で郵便局の振込用紙を渡してファンクラブの申込方法を教えた。加えてTwitterではこの情報アカウントをフォローしておきなさい、キスマイの「裸の時代」という本は読んでおきなさい等と、ジャニヲタ入門に必要なものを手取り足取り教えて帰って来た。帰りの車中、「Forza!」という玉森さんのメインナンバーを車の外にも聴こえる程の爆音でエンドレスリピートで聴かせてくれる幼なじみに、私がけして持つことの出来ない莫大なエネルギーを感じた。ジャニーズに興味の無かった人が突然ジャニヲタに転がり落ちていく時の、人生の転機とも言える瞬間を私は今目撃しているのである。


“何故人は今突然キスマイでジャニヲタに目覚めるのか”
周りの話を聞いていると、何も私の幼なじみが珍しいケースではない。統計を取っている訳ではないので正確なソースはないが、感触としてキスマイにハマっていく非ジャニヲタが比較的多く存在する気がする。ジャニーズの場合、国民的アイドルの地位に上り詰めてお茶の間に見つかるまではデビューから数年間かかることが多いが、キスマイの場合はデビューから2年程ですっかりお茶の間にもお馴染みの顔になっている。私は映画好きの幼なじみにはNEWSの加藤さんをゴリ推ししていたのだが、何故加藤さんにはハマってくれなかったのかと問いかけたところ「だって加藤くんテレビで見ないんだもん」というあまりに端的で最もな回答が返って来たのでグウの音も出なかった。テレビというメディアが弱くなってきているとは言え、受け身に構えている人たちを取り込むためには、テレビ露出の多さはやはり圧倒的に有利である。日常的に目に飛び込んでくる仕掛けをつくってもらっているキスマイは油断している茶の間層の意識の中に入り込むことに成功しやすい。しかしメディア露出と言えば、既に国民的アイドルの地位まで登り詰めている嵐や関ジャニ∞もキスマイに劣ることなく多い。何故そこには飛びつかず、敢えてキスマイにみんな飛びつきたがるのか。この“敢えて”にポイントがある気がする。“キスマイBUSAIKU!?”という冠番組はそのタイトルに強烈な印象を植え付けた。ジャニーズ=かっこいい、ジャニーズ=美しい、というステレオタイプを打ち砕くような命名にタイトルだけで既に注目度は高まる。しかも中身を見てみれば、キスマイファンではない女性たちが、キスマイがかっこいいかどうかを採点していくというのである。これはジャニーズを必ずしもかっこいいものとして評価しなければならないという縛りから解放して、一般視聴者にキスマイを自由に受け取らせる体制を整えたことが、この番組の人気に大きく影響を与えたと感じている。ジャニーズが常にかっこいいとは限らない、そう感じた瞬間にキスマイがとても身近な存在に感じられるように出来ていて、視聴者を広く囲い込みやすい。もう一つの要因として、嵐や関ジャニ∞よりもデビューからの歴史が浅いことも挙げられるのではないかと感じる。過去を遡ることはそれほど困難なことではなく、これからの未来の道のりの方がよほど長いのではないかと期待も出来る。ジャニーズの中でも極めて安定したペースでCDリリースがあり、現段階では飽くことのないジャニヲタライフが約束されている。またジャニヲタ内では賛否両論の「3人+4人」での区分された戦略も、まず3人のキャラクターを掴んだら次は自然と4人への興味も湧いてくるという話を聞いて、新規参入者に対する分かりやすい道標として機能しているのだと改めて感じ取れた。他にも洗練されたエイベックスサウンドや、彼らの専売特許であるローラースケートなど、キスマイに引っ掛かる為の杭は沢山打たれている。他のグループの杭には引っかからなかった人たちが、キスマイにだけ引っ掛かっていくのは、その杭がどれも丁寧に強く打たれているからである。そしてその芯となる本人たちも沢山の特異な杭を受け入れながら、真っ直ぐ立ち続けているからこそ成立しているのだと感じる。幼なじみが目覚めたことで私もより一層キスマイへの興味が増したので、素直にその杭にぶら下がってみたいと思った。