<2>10年以上ジャニヲタの私が洗脳努力を続けても一切揺らぐことのなかった幼馴染みが、20代半ばにしてKis-My-Ft2を通して突然ジャニヲタになってしまった問題

前回:<1>10年以上ジャニヲタの私が洗脳努力を続けても一切揺らぐことのなかった幼馴染みが、20代半ばにしてKis-My-Ft2を通して突然ジャニヲタになってしまった問題 - それは恋とか愛とかの類ではなくて

その日私は仕事を終えてiPhoneを開いた。LINE通知13件。
?!?!?!?!?!?!。迷惑メールの魔の手が遂にLINEにも拡大されたのかと恐る恐る開いたら、それは全て幼なじみからのものだった。

キスマイBUSAIKU!?見てたけどメンバーへの愛しさが半端ない(笑)」
(この後に全メンバーの魅力語りが続く)
「お仕事中申し訳ない、どうしても誰かに聞いて欲しかったの(笑)」
「葛藤中で聞いて欲しい話があるけど、まだまとまってないから伝えようがない」
「キスマイに揺さぶられ過ぎて地の果てに振り落とされそう」
「彼らは罪な男たちだ」
「彼らのこと考え過ぎて昨夜は4時まで眠れなかった」

うん、分かった、とにかく一旦落ち着こう。先日私と鑑賞会をしてまだ2日しか経っていないにも関わらず、彼女の燃え上がる気持ちは留まることも抑えることも知らず、本能のままに燃え上がっていた。鼻息を荒くして迫ってくる彼女の言葉に、元々ジャニヲタである私ですら押され気味になった。すごい、これがジャニーズという扉を叩く時に経験する突風なのだ。先住民を吹き飛ばしてしまう程の威力を発揮しながら、新参者はこの扉を叩いているのだ。ようこそ、ジャニーズワールドへ。凄まじい豪風を私は何とか耐えて受け止め、彼女が眠れない程悩んでいる要因を聞くためにドライブに誘った。

「もうファンクラブに入ることは決めたの」

彼女は決意を固くしてそう言った。前回会った時に私はファンクラブの申込方法を教えていたが、その時はすぐさまファンクラブに入会するような素振りはなかった。まだこれからずっと応援していけるか分からない状態で1年先までの年会費を払うのはリスキーである、という迷いがあった。けれどももう彼女は決めたのである。ファンクラブに入るのだと。しかしそれでは一体何に悩んでいるというのだろうか。

「ファンクラブの申込用紙に、一番好きなメンバーを書かなきゃいけないじゃない?私、玉森くん以外の名前を書きたくなってるの」

えーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!危うくアクセル全開にして超特急で街中を駆け抜けるところであった。ズコーーーという効果音と共に車体ごと傾きたいところだった。おさらいしよう。彼女は最初藤ヶ谷さんをタイプだと言っていた。けれどもそれは私のジャニーズ話に付き合ってくれていた時のミーハー的な感情からである。その後キスマイの知識を増やしていくうちに、玉森さんの虜となった。玉森さんの愛らしい笑顔を見て「捨てられた子犬みたいで可愛い」という不憫な設定すらしてしまう程、玉森さんに夢中になりキスマイファンに目覚めたのである。結果的にやっぱり藤ヶ谷さんが好きだった、そういうオチなのだろうかと私は想像した。しかし私の想像力は非常に乏しいものであった。

「玉森くんじゃなくて宮田くんを、書きたくなってるの」

えーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!今度こそクラッシュ!クラッシュ!歯がゆくココロ、クラッシュ!クラッシュ!オーベイベー!(これはキスマイではなくA.B.C-Zの曲である)宮田かよっ!!!!!!(※ちなみに私はアイドルのことは全員尊敬しているので基本的に「苗字+さん」という敬称で呼ぶようにしているのですが、Kis-My-Ft2の宮田さんとAKB48の指原さんだけは、彼らがオタクであるということから感じられる極度の親近感からたまに敬称を略すことがあります)

「よく考えてみたけど、リアルな世界にあの7人がいたとしたら誰と付き合うかって考えたら、玉森くんじゃなくて宮田くんなの。同じクラスにいたとしたら誰好きになるかって考えたら、宮田くんなんだよね」

ちなみに記事のタイトルから見て分かる通り、我々は20代半ばである。「同じクラス」というような集団に属すことはもうない年代でありながら、彼女にそんな常識を打開させ妄想力を掻き立てたKis-My-Ft2という存在はやっぱりすごいのである。彼女はKis-My-Ft2と同じクラスにいる自分を想像したのである。もう学生生活からはウン年離れているというのに。しかしそれがアイドルに恋をするということであり、ファンにいつまでも少女の気持ちを持たせてくれるのがアイドルなのである。嗚呼、アイドルって素晴らしい。彼女は宮田くんの魅力を一通り語った後、ファンクラブ加入後にも好きなタレント名は変更可能だよと教えてあげると、結局玉森くんの名前でファンクラブに加入した。今晩からはぜひ安心して眠って欲しい。もう悩む必要はないのだから。

その後、私の家に招待し、我が家のHDDに眠るキスマイ出演番組を一緒に鑑賞した訳だが。

「やっぱり私、二階堂くんが一番好きかも!!!!!!!!!」

もはやハイパーフリーダム。彼女曰く、キスマイ全員が魅力に溢れすぎていて安易に一人に絞れないとのこと。そんな彼女に私は「このキスマイDDめ!」と呟くが、ジャニヲタ若葉マークの彼女は「DD」の意味すら知りませんでした。
ちなみに私はキスマイでは北山さんが好きです。



<たぶん続く>