「買ったのに見てないDVD」「友達に借りたのに見てないDVD」っていうのが実は家に結構ある。DVDという(私にとっての)長編作品をテレビの前でじっとして見るという行為が未だに苦手で、購入したり借りたりしてから見始めるまでに結構な時間がかかり、結局見ないまま時間だけが過ぎ去っていくなんてことが割とある。ジャニヲタのくせに。ということで、今年も残りあと1ヶ月半程度しかないが、この見ないまま放置プレイになっているDVDを順番に片付けていく作業に取り掛かった。
そしてその1本目として選んだのが、友人から借りていたDVD「PLAYZONE'13 SONG&DANC'N。PARTⅢ。」だ。
Hey!Say!JUMP伊野尾慧担当という名ばかりのクソDDである友人(類は友を呼ぶとはこういうことを言う)は私の知らない間にPLAYZONEにハマっており、2013年は私も一緒に青山登山を経験させてもらった。その私も実際に足を運んだ2013年のPLAYZONEのDVDである。「PLAYZONE」という舞台はジャニーズ事務所の非常に歴史ある舞台であるが、残念ながら私はこの2013年の「PLAYZONE」しか見たことがない。よって歴史的観点から「PLAYZONE」を語ることは出来ないが、「2013年のPLAYZONE」を見た記録として現場感想記も特別残していなかったので、せっかくなので改めて記しておきたいと思う。今井翼、屋良朝幸、中山優馬、という3人を中心に構成され、この舞台の軸は「ダンス」に置かれる。この年から「PLAYZONE」のスタイルが少し変わったということは聞いているが、ジャニーズの数々の名曲たちに合わせて、ひたすら「PLAYZONE流」のダンスが繰り広げられる。例えば誰もが知っている「青春アミーゴ」や「仮面舞踏会」「アンダルシアに憧れて」等の名曲たちが、オリジナルの振付とは異なる振付で披露されていく感覚は、何とも不思議な感覚に陥る。聴覚は我々の慣れ親しんできた音のはずなのに、視覚では全く異なる“音遊び”が行われている。どこかで聴いたことあるような、でもまだどこでも出会ったことのないような、知っているようで初めて見るパフォーマンスが目の前に広がる。複数人で歌う曲は曲中ほぼユニゾンであり、個性を封印した青年たちの歌声が、それもまた新鮮に心地よく耳に入り込んでいる。そしてメディアで知るジャニーズとは一味違った、ハイレベルなパフォーマンスを堪能することが出来る。
ここで、印象深かったパフォーマンスをピックアップしてみる。
- 水の帰る場所(屋良朝幸、中山優馬)
この曲は私が2012年のジャニーズ楽曲大賞に1位で投票した曲であり、その当時まだテレビや舞台で一度もパフォーマンスを見たことがない曲だった。満を持して2013年のPLAYZONEでそのパフォーマンスを目の当たりにし、こんなに自分の思い描いていた曲の世界観とパフォーマンスが一致することがあるだろうかと感動した。曲を先に聞いてしまうと、私は大体先に自分の中で曲のイメージと振付や世界観を固めてしまう傾向があり、後からパフォーマンスを見て自分の思い描いていた世界観との相違に落胆することがある。そこを屋良朝幸さんの振付とご本人の豊かな表現力により、見事に「水の帰る場所」を完成させられた、と思った。曲が更にパワーを持ち始めるパフォーマンスだと思った。屋良さんの振付は、物語を感じさせるものがあり、歌っている優馬くんとは別世界で生きていると思わせていた屋良さんが、サビで優馬くんと手を取り、最終的に優馬くんに身体を預けて生気を失うというシーンがある。それを優馬くんが抱き止めながら哀しい目で見つめる瞬間がある。無駄がなくただ美しい。これを見れただけでも良かったと思える。
V6がスタンドマイクの前で簡単な手振りをしながら歌っているイメージの強かったこの曲で、バリバリ踊るパフォーマンスが出来るなんて思ってなかった。我々の中で凝り固まっていたイメージを崩された曲という意味でピックアップした。MADとThey武道の5人それぞれが違う色の蛍光色衣装を着た姿は、戦隊ものを思わせる風貌で、アイドルの黄金比である5人組という形にもまた興奮させられるものがあった。私はThey武道の山本亮太さんのダンスが一目見た時から大好きで、もう何年も「ジャニーズで一番ダンスが好きなタレント」と言い、ジャニーズJr.情報局の好きなタレント欄は「山本亮太」にしていたくらいだった。彼のダンスは躍動感に溢れていて、リズムの取り方が独特である。カウントのギリギリまで粘ったあとに、次のカウントに行く。その限られた時間内に最大限のパフォーマンスをするタイプのダンスだった。あとダンスを魅せる上で一番大事なのは表情ではなくて、顔の角度なのではないかと思っているけれど、彼は身体の向きに合わせて顔の角度を変えて魅せる天性の才能があると思っている。気持ちがいい程に顔と身体のラインがハマっている。やっぱり「ジャニーズで一番好きなダンスをするタレント」で間違いない。
- A・RA・SHI(ふぉーゆー)
これはどちらかと言えばDVDで印象に残ったというよりかは会場で生で感じた印象の方が強い。一時期同じグループを応援していたはずの友人が気づいたら「ふぉーゆー」のファンになっていた、という現象が相次いでいた。その人気の高さは、青山劇場の幕が開けた時から会場のファンの息遣いからも感じ取れる程だったが、そんな人気者の彼らが嵐の「A・RA・SHI」を選択して演るというのが何ともドラマがあって良かった。パフォーマンス前に行われたやり取りも、尺的には長かったのかもしれないが間延びすることもなく、お客さんの「飽き」をほぐす為のバランス感覚の良さを感じた。夢に向かう気持ちが純白で高潔だからこそ出来る空気感がふぉーゆーにはあって、誰も彼らのことを指差すことは出来ないし、彼らの夢が叶っていくことを願うしかなかった。その真っ直ぐさに心動かされる人が多いのだろうなと納得する。
- Guys PLAYZONE(全員)
出演者全員で踊る「Guys PLAYZONE」はとにかくその迫力に負ける。完敗する。ダンススキルの高いジャニーズが勢揃いした状態で行われる群舞の美しさは、もっと世に知られるべきである。ジャニーズと言えば、キャッチーなパフォーマンスでお茶の間を沸かせているタレントたち、の方が先に固定観念として出てきてしまって、恐らく本格的にダンススキルを磨きたいと思っている少年や青年たちは、ジャニーズという道を敢えて選択しないのではないかと思うのだが(昨今で言えばEXILEグループを目指す傾向の方が強いのではないかと思う)、ここにジャニーズでも立派なダンスショーに参加出来る道が用意されているよ、ということを声を大にして言っておきたい。
本来はタッキー&翼というユニットで活動している今井翼さん、またソロで活躍する屋良朝幸さん・中山優馬さん、それぞれユニットの者が他と交わったり、ソロの者が他と交わることで起こす新たな化学反応が見られることも楽しい。原曲の魅力を生かしたまま、自分たちで曲にまた新たな命を吹き込んでいる2013年のPLAYZONE。ジャニーズの中でも非常に純度の高いパフォーマンスに触れられた、良い機会だった。DVDを貸してくれた友人に感謝。まもなく2014年盤も出るらしいので、それもまた友人に見せてもらう気満々でいる。
さて、次回はどのDVDに手を付けるか。