中山優馬スペシャルイベント「感謝。そしてがんばる(仮)」

「応募者全員招待」というジャニーズにしては非常に珍しいイベントに参加して来た。今回私が大阪まで足を運んで参加した中山優馬くんのスペシャルイベント「感謝。そしてがんばる(仮)」は、2014年9月に発売されたシングル「Get Up!」に入っている応募券2枚と、2014年11月に発売されたアルバム「Cahpter 1」に入っている応募券1枚、合計3枚の応募券を1口として応募することが出来、その応募者全員がイベントに招待される仕組みになっていた。大阪と東京で各2回ずつ行われ、私はイベントの初回にあたる大阪昼の部に参加してきた。当日の参加者は全部で700人弱。内容は全く知らされぬまま、ジャニヲタの中でも極めてマナーが良いと評判の優馬くんのファンはみんな静かにスタンディング形式の会場の中に吸い込まれていった。

Chapter 1

Chapter 1

  • アーティスト:中山優馬
  • ジャニーズ エンタテイメント
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Get Up!

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優馬くんと言えば、シングルを出す度に全国のイオンモールを回って握手会を含んだイベントを行っており、その握手会でのファンに対する返し方が面白いと評判だった。Sexy Zone中島健人くんが昔握手会でファンに対してブレることのない王子様っぷりを発揮して伝説を作っていたのに対して、優馬くんは関西人ならではの「素人弄り」の上手さが光っていて、本人自身もファンとの触れ合いの場を楽しんでいる様子が、Twitterで流れてくるレポから読み取れた。とは言え、シングルを出す度に全国のイオンモールを回り、接触という機会を設けて売上を伸ばすという手法は、AKB48が流行らせて以降今や女子アイドルに蔓延している売り出し方に近く、天下のジャニーズ事務所がメディアの力を利用せずに、こういったイベントを惜しみなく打ち出していることに、少なからず切なさがあった。

勿論、中山優馬くん自身の活動は、このシングルリリースイベントに偏っている訳ではなく、2010年からは「PLAYZONE」等を代表とする舞台作品に出続け、そこでステージ上でのパフォーマンスの実力をつけ成長して来ている。年間を通してみると舞台作品に出演している時間の方が長い為、中山優馬と言えば音楽活動よりもそちらの印象を受ける方が多いのではないかと思われる。また私は以前に以下の記事で、「中山優馬くんこそがジャニーさんの信念に沿って今最も磨きをかけられている若手タレントなのではないか」という仮説を立てていた。よって音楽活動よりも舞台作品に近年時間を割いてきたことは、過去に自分が立てた仮説から大きく離れていないのである。

また、2013年と2014年には、舞台作品とは別にしてライブ形式の「Live House ジャニーズ銀座」も行っている。そこでシアタークリエという小さな会場ながらもコンサートという形でアイドル中山優馬の姿を堪能することが出来るようになっていた。

そんな流れの中で2014年はシングル2枚のリリースに加え、アルバム1枚のリリースが加わり、これまで通り舞台作品に出演しながらも、音楽活動が非常に充実した年だった。アルバムをリリースすることとコンサートを行うことがほとんどイコールの関係に近いジャニーズ事務所の古くからの傾向を見ると、そろそろアルバムを引っ提げたライブツアー等を行ってもおかしくないと感じていて、私自身もそれを待望していた。というのも、年末にリリースされたアルバム「Chapter 1」の仕上がりがとても良かった。日曜の午後に低音量で流しながら本でも読みたくなる様な、穏やかで尚且つちょっと懐かしい香りのする楽曲たちを、ステージ上で優馬くんはどんな演出でこれらを表現していくのだろうと興味が沸々と湧いていた。無料イベントでコンサートを行うのは難しいかもしれないが、このアルバムの世界観を表現する機会があるならば、それを見逃してはいけないと、応募したのだった。

結果的に、今回のイベントは私の理想としていたコンサート形式ではなかったものの、シングル「Get Up!」とアルバムから「交差点」「舞い、恋」の3曲が披露された。その他は優馬くんのトークショー、また会場のお客さんとのコミュニケーションをはかる質問コーナー等が設けられていて、イベントの構成は若手俳優事務所のそれに近かった。優馬くん曰く、「何をやってもいいと言われていた」とのことで、本人は堅いイベントにしたくないからという思いがあり、タイトルも当初はスタッフがもっとかっこいいものを考えていたが、かっこよすぎるからということで自らダサくしたと語っていた。「感謝。そしてがんばる(仮)」は「(仮)」とつくものの、「(仮)」を含んだ正式なタイトルとのこと。この恐れることのない自由度。このイベントで何かしらの結果を残さなければならない、等という気迫は特になく、あくまで「感謝祭」「ファンミーティング」としての色が強かった。

イベントの形式もさることながら、優馬くんのイベントではお馴染みの顔となっているらしい男性スタッフ「つーすけさん」が舞台上にマイクを持って登場することもまた、恐ろしく自由だった。ジャニーズのイベントには「つーこさん」という女性スタッフが現れることが通例となっていてそこから派生して、「つーすけさん」と優馬くんに名付けられたらしい男性スタッフだが、「つーこさん」だけが特別に表に出て来る印象があったがゆえに、それ以外のジャニーズ事務所の裏方の人間が表に出てきて裏話を喋り始める、というのもまた不思議であった。「つーすけさん」は「今年も皆さんに沢山報告が出来るので期待してて下さい」と優馬くんの活動が更に充実したものになることを報告して、ファンが会場を出て行くまでステージ上で喋り続けていた。中を覗くことがなかなか出来ず何を考えているのかよく分からないジャニーズの運営の中で、ここまで開放的にして中の人が出て来る中山優馬くんの運営は、ジャニーズの中核からは少し離れたところにあるようにすら思えた。それが全国のイオンモールを回って接触イベントを展開する、良くも悪くもジャニーズらしくない戦略を編み出していた理由かもしれない。

最後は優馬くんの提案で急遽「お見送り」が行われた。その際にも「つーすけさん」は、「突然そういう発言しないでねってさっき言ったよね」と優馬くんを叱り、「ちょっと後で」と終わった後にお説教をするつもりで優馬くんに声をかけるも、「あとで何?ラーメンでも奢ってくれるの?」と優馬くんに返されてしまっていた。そのやり取りだけで、優馬くんと「つーすけさん」の間にある信頼関係を垣間見ることが出来たが、イベントでは「好きなことをしていい」と言われていたり、急遽予定にはなかったことを提案してスタッフを振り回す優馬くんの姿を見ていると、中山優馬というタレントの大物っぷりが伺えるし、またこのジャニーズの中では特異とも言えるであろうタレントの育成方法が今後どう転んでいくのか、引き続きとても興味がある。「つーすけさん」の言う「報告」は、私が望んでいるアルバムを引っ提げたライブツアーとは別のものである可能性が高いが、中山優馬くんの音楽活動が今後どう斬新な展開を見せていくのか楽しみにしている。