NYCとは何だったのか

KAT-TUNが3人で東京ドームに立っている姿を見て、2000年代に入ってからジャニーズの中で3人組のデビューグループが出来たのは初めてじゃないかと頭の中を巡らせていた。いや、ちょっと待てよ、2000年代に入ってからも、3人組のデビューグループはいたぞ。NYCという3人組グループが、確かにいたぞ。少人数でグループを組むことが珍しくなって来ている昨今に、NYCは確かに固定された3人組だった。ジャニヲタなら既にご存知だと思うが、現在事実上の活動休止となっているこのNYCというグループは、中山優馬(N)と、Hey!Say!JUMPの山田涼介(Y)、知念侑李(C)の3人で構成されている。私はこの3人組が格別好きだった。今日はちょっと思い出したついでに、彼らについて書いてみようと思う。

NYCは2009年の6月、東京国際フォーラムで開催されたジャニーズJr.のコンサート内で結成が発表された。この日ジャニーズJr.のコンサートは1日4公演行われ、1公演目は通常公演だったが、2公演目で突然彼らのグループ結成が発表され、そこでそのまま記者会見が行われたと記憶している。正確に言うと、この時はまだ「NYC boys」という名前で、NYCの他に、現在Sexy Zoneである中島健人菊池風磨、また現在SixTONESである松村北斗高地優吾の、合計7人のグループだった。そもそもはこの数日前に「中山優馬w/B.I.Shadow」の名前で、Hey!Say!JUMPの山田涼介と知念侑李以外の5人が、「悪魔な恋」というシングルでメジャーデビューすることが発表されていて、「NYC boys」の結成はその後を追う形で突然発表された。という風に「NYC」にたどり着くまでにも既に複雑な経緯がある。

発表された当時、私はHey!Say!JUMP担としてその場にいたのだが、当時は能天気なヲタクだったので、山田さんや知念さんの楽しみ方が二倍に増えた程度にしか考えていなくて純粋にNYC結成を喜んでいた。しかし公演が終わってJUMP担仲間のメールを読んだり、mixiを開いてみたところ、そんな風に能天気に考えている私のような人間は少なく、何故Hey!Say!JUMPから山田さん知念さんが借り出されなければならないのか、当時私の周りではあまり好意的に捉えている人は少なかったように思う。というのも、2009年当時の中山優馬さんと言えば、関西ジャニーズJr.から突然連ドラ主演に大抜擢され、トントン拍子でデビューの階段を駆け上がった、いわゆるジャニーズ事務所社長の超スペオキ(スペシャルオキニ)だったのだ。これほどまで露骨に一人を集中的に売り出していく方法は、ここ数年見ていないので、それは少しばかり寂しく感じている。そんな社長のスペオキ・中山優馬さんのデビューに、Hey!Say!JUMPの2人が巻き込まれた、という見方が、当時のJUMP担界隈の中では少なからずあった。Hey!Say!JUMPのコンサート内にNYCのコーナーが設けられていたことに対する反発の声も耳にしていた。

とは言え、NYC boysとしてのデビュー曲である「NYC」は、馬飼野康二先生作曲で、Hey!Say!JUMPのコンサートで歌われる時には大層盛り上がった。「スカイハイ!」という掛け声がかかる時には、Hey!Say!JUMPのどの曲の時よりも会場の一体感が生まれているのではないかと思う程、みんなが一斉に腕を突き上げていた。「NYC」というユニットに対して思うことがある人たちも、その時だけはそんなことを忘れて純粋に、このキャッチーな曲を楽しんでいたように思う。

私はそんな物語性も含めてこの「NYC」というグループが好きだった。メンバーをもう一度思い出してみて欲しい。努力を惜しまないHey!Say!JUMPの絶対エース・山田涼介さんと、身体能力の高さと自他共に認める小動物的可愛らしさを備えている知念侑李さんと、社長に目をかけられどんな逆境にも立ち向かう根性のある中山優馬さんの3人。プロ、プロ、プロ、とくらくらする程意識の高いアイドルたちが集められた集団は、好きになるしかなかった。デビューした年から4年連続で紅白歌合戦にも出場し、分かりやすく社長が気に入っていることは分かっていたが、山田さんと知念さんはHey!Say!JUMPと掛け持ちでの活動となることから、シングルを5枚出したきりで、アルバムも出さず単独ライブも行わず、その後中山さんがソロデビューしたこともあり、自然消滅するような形で事実上活動休止となった。

NYCとは何だったのか。前身のNYC boysは『バレーボールワールドグランプリ』の期間のみ活動するスペシャルユニットだったが、それ以降もNYCとして活動させた目的は不明瞭なままである。けれども私はこのアイドルプロが集められたユニットで、一度でいいから単独ライブをして欲しかったと今も尚諦め切れずに思う。音源化されている楽曲は、中山さんのライブで歌われたり、今後もJr.が歌っていくことがあるのだろうけれど、お台場ジョイポリスのデジタルショーの為に作られていた楽曲に、かっこいい未音源化楽曲が数曲残っているので、せめてどうかその曲たちを無駄に死なせないで欲しいと切に願う。もう社長にNYCへの未練は残っていないと思うが、少しでも需要があるという声はここに残しておきたい。

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