「昭和」から「平成」に元号が変わり25年が経とうとしている。「メンバー全員が平成生まれ」という理由のもとに「Hey!Say!JUMP」と名付けられデビューを果たした少年たちも、全員が20歳を迎え「平成生まれ」はもう子どもではなくなった。「平成生まれ」と聞いただけで幼いイメージを抱き、中高生が熱を上げる対象だと思われがちだった彼らが、このクリスマスにリリースした作品において、自分たちがこれからの時代を築いていく決意表明をしているように感じられたので、今回はそれについて書いておこうと思う。
真っ白な衣装に身を包み、青白い光を反射しながらフロアの上で躍動的に激しく舞う姿は、まるでアスリートの様だった。メンバー間の体格の差を感じさせない程に綺麗に整えられた腕の角度、瞬きをしている間に入れ替わっている工夫を凝らしたフォーメーション、誰ひとりとして強烈な個性を発しない徹底された群舞の美しさがここにある。センターを務める山田涼介さんのダンスは力強く生命力に溢れグループ全体にスピード感をもたらす。幼い頃からジャズダンスに親しんできた知念侑李さんの舞いはどのカットを切り取っても余すことなく美しい。身体の柔らかさか本人の性格の柔らかさからか有岡大貴さんのダンスには魔法のような包容力がある。誰よりも長い手足を誇る中島裕翔さんのダンスにはその四肢を生かしたダイナミックさが加わる。その他、それぞれにダンスの特徴はあるものの、全てが合わさった時の化学融合は息を呑む程の感動を沸き起こす。彼らがこのフォーメーションダンスを武器とし始めたのは、2011年6月にシングルとして発売された「OVER」が起点だと感じている。それまでにもダンスナンバーと呼ばれる楽曲はあったが、立ち位置が目まぐるしく代わる曲中の移動、そして移動すること自体も美しく魅せようと意識された振り付けはこのシングルが最初だった。その直後舞台「SUMMARY」において「Beat Line」(シングル「Magic Power」カップリング収録)という楽曲でまた更にこのフォーメーションダンスに磨きをかけ、2012年2月にリリースしたシングル「SUPER DELICATE」では曲の最後に山田涼介さんの後ろから影が伸びていくようにメンバーが少しずつ立ち位置をずらしポージングを取る、“動”ではなく“静”としての美しさも追究した。
そんな彼らのダンスは少しずつ評価されるようになったが、シングルは年に1~2枚ペース、彼らの活動の主軸はコンサートや舞台にあり、お茶の間まで届くのには時間を要した。勿論彼らがここまでにステージに立つことを怠って来なかったからこそ生まれた完成品であるため、それらは彼らの技術向上のために必要な活動期間である。しかしここに来て、ジャニーズ事務所内での人事異動(SMAPやKis-My-Ft2を手がける飯島女史班から、嵐や関ジャニ∞を手がけるジュリー班への異動)があり、彼らのメディア露出の機会は一気に拡大された。
そのタイミングで今回発売されたのがシングル「Ride With Me」である。
No doubt ボクらの未来なんだ キミらしく描けばいい
Can you ride with me, ride with me?(Ride with me)
Baby, can you ride with me,ride with me?(Com'on baby,yeah)
We gotta go now ボクらの時代なんだ 胸を張って生きればいい
恐れるものなんてない 今すぐにRide with me
これからの未来は自分たちのためにある、という断言と共に、その新時代に便乗してみないかと「Ride with me」という言葉を何度も繰り返す。これまではジャニーズ事務所内でも若手グループの立ち位置にいた彼らも、デビューして6年が過ぎ、中堅層へと移行してきている最中、ここからの時代は自分たちが乗っ取るという先輩グループ、及び世間全体への宣戦布告のようにも捉えられる。本人たちからも「Hey!Say!JUMPは今後どうあるべきか」という話し合いの場を持つようになったという発言が見られ、本格的に加速する準備をしているのかもしれない。
「アイドルなのに○○」「ジャニーズだけど○○もできる」等と、アイドルに個性や付加価値が求められる時代に、彼らの「歌って踊る」というシンプルなアイドルの本質を究めていく姿勢はかっこいい。2014年2月には既に次のシングル発売が決まっている。Hey!Say!JUMPの快進撃はもう既に始まっている。