「Sexy Zone Spring Tour Sexy Second」

儚き姿。ティーンの輝き。成熟前の危うさ。高まる期待値。未確定の自我。成長過程に触れる喜び。熟れる前の青い林檎はやがて真紅に染まっていくだろう。「若さ」が有利に働くアイドルの世界で私は10代の子が自分の青春を捧げる姿に尊さを感じると共にそこにスリルも感じてしまう。嘗て応援していた10代の子が姿を消すことになってしまった出来事が必然的に私に纏わりつき、10代の子に心を奪われる気持ちには自動的にブレーキがかけられる。けれどもやっぱり美しい。彼らの大切な時間は今しかなくてそれを我々に映し出してくれるその行為自体がやっぱり美しい。今日だけブレーキを解除させてくれ。

Sexy Second (通常盤 CD ONLY)

Sexy Second (通常盤 CD ONLY)

2月19日に発売されたSexy Zoneのセカンドアルバム「Sexy Second」は発売されると瞬く間に「名盤」という評価が多方面から聞こえて来た。それはけしてSexy Zoneのファンだけでなく他グループのファンからの声も多かった。私がそれにようやく手を付けたのは発売から2ヶ月程経過した4月だったが、恥ずかしいくらいに周りと同じ評価にたどり着いた、「名盤」。音楽の専門的知識はないのでこのアルバムの何が「名盤」と言わしめるのか具体的な例を出して説明することが出来ないけれど、1曲目のIntroductionからディズニーランドのパレードの様な煌びやかさを含み、2曲目の「We Gotta Go」はコンサートの1曲目に持って来るに相応しいオープニング楽曲。これらの楽曲が揃っていて良いコンサートにならない訳がない、行く前から確信めいた気持ちを抱え、Sexy Zoneのコンサートへ恐る恐る足を運んだ。

今回とても幸運なことにステージから2列目という私のジャニヲタ人生の中でも最もメインステージとの距離が近い席でその眩しさを堪能させてもらったのだが、それゆえに会場全体のステージ構成やそれがスタンド席からどう広がって見えたのかという演出面については充分に確認出来ていないので、それはまたDVDが出たら改めて確認出来ればと思う。よって全体的な印象と個人についての感想を記しておく。

  • 全体的な印象

「名盤」とあらゆるジャニヲタを唸らせたアルバムの楽曲はほとんどに丁寧な振り付けが施されていて、楽曲の良さが失われないままステージ上で活きていて良かった。アルバムの中で特に私がお気に入りだった「Ghost~君は幻~」はダンス楽曲コーナーの一つとして披露され、互いの身体に触れ合いながら行われるパフォーマンスにドキドキした。触れられた相手は生気を失った様な表情になり、触れた相手が何らかの刺激を与え彼から生気を奪った様に見せる演技も入る。中島健人さんに触れられた佐藤勝利さんの目から色がなくなっていく様は至上最高の美だった。中島健人さんの発案でつくられた巨大な車のセットも斬新でステージ上に大きな車が横たわっている光景は、今までジャニーズのコンサートでも見たことがなく、その車が真っ二つに割れてその奥から登場することが出来る仕組みになっているのも、新しくて面白いなと思った。アイディアマンとしての中島健人さんのセンスを感じることが出来たセットだった。デビュー3年目の春のコンサートとしては、順調に「Sexy Zone」というコンセプトを固めている様に感じ、グループアイドルの黄金比と言われる5人組のバランスの良さも存分に堪能させてもらった。

コンサートに行く時は毎度視点を作って行くのだが、今回私は中島健人さんに焦点を合わせて見に行った。もう敢えて語る必要もないくらいラブホリックという強烈なキャラクターの印象を世間に植えつつある健人くんであるが、そんな健人くんの隙を見つけたいと思って一秒も見逃さないつもりで彼を眺めていたのだが、隙なんて無かった。自分にスポットライトが当たっていないシーンでも全力でかっこつけてくれている。一瞬でも疲れた素振りを見せることなく、ステージ上で表情が緩むことがない。また最年長として他のメンバーを器用に引っ張っていくと思いきや、たまには自分がボケに入ることも忘れず、メンバーからのツッコミを待っていたりする。やっていること自体は手越祐也さんとさほど変わらないと思われるのに、NEWSの現場では「キャー」となるものがSexy Zoneの現場では「www」となっている文化の違いもとても興味深いが、笑われるためにやっている訳ではない健人くんの正統派な格好の付け方が笑いとして消化されていく現象には毎度驚かされている。けれども「キャー」と消化されるよりも「www」と消化されている方が、一般層へ届く確率が高いと思われるので、笑われながらも迷いなく自己プロデュースに磨きをかけていく健人くんは賢くて強い人だと思う。

健人くんに視点を合わせていたと書いたが、健人くんに視点を合わせれば合わせる程、反対側にいる菊池風磨さんのことが気になってくる、という回路があり、コンサート中そこで何度もぐるぐるとしてしまった。いつだって正しくアイドルの姿を貫く安心して見ていられる健人くんに対し、風磨くんはそれに反する形のアイドル像を創り出していてハラハラさせられてしまう。「中島健人のシンメトリー」という運命を背負わされた時点で私ならば絶対的敗北を認めなければいけない等と思ってしまうが、風磨くんは健人くんの“逆側”を取ることでふまけんに“対比の美”を生ませることにしたのである。自分だけ違う方法で格好を付けようとする風磨くんには危うさを感じてしまうが、いつかこの時の自分を振り返って青かったと照れる賢さまでは手放していないと思うので、そこまで先回りして菊池風磨さんはとても可愛い人だなと思っている。

先輩である中島健人菊池風磨を隣に据えてセンターを務めることに対するプレッシャーは計り知れないと思うが、勝利くんもまた中山優馬くんに似た肝の据わり方をしているタイプなのではないかと思っている。コンサートの途中で健人くんから「勝利、いつものよろしく!」と振られて俳句を披露していたが、「気がついた、横アリ着いたら、気がついた」「可愛い子多いね♡」と最初の五文字と最後の五文字を同じにして、それ自体では俳句として成立していないので、最後にファンを喜ばせる一言を付け足すという手法をとって成立させている。そこに一点の曇りもない表情で披露する。そして誰もそれに対して突っ込むことなく、健人くんの格好付けは笑いとして消化されていくのに、勝利くんの俳句コーナーは笑われていない。むしろ「キャー」と観客が叫ぶことで、疑問に思ったこちらの方が悪いのではないかという気にさせられる。マジレスした方が負け、佐藤勝利さんの純粋さに自分の心の穢れを思い知らされる。

ちょうど私が入った回で新ユニットの発表がされたが、このSexy BoysとSexy 松のパフォーマンスがすこぶる好みだった。神宮寺勇太さんと岩橋玄樹さんという両極端なイメージのシンメトリーにハーフ美少年のマリウス葉さんをセンターに置き、松倉海斗さんと松田元太さんという双子の様なシンメトリーのセンターには可能性無限大の松島聡さん。Sexy BoysとSexy 松で別々の衣装を着ていたが、個別に捉えるというよりかは6人全体で捉える方がしっくり来て、チャンスを与えられた全員がギラギラしていて、久しぶりに熱い目をした若者たちを見た気がした。これに伴ってSexy Zoneの活動に支障はきたさないのかという懸念事項も増えていくが、デビューしてから数年間は事務所側が様々な試みをすることが多く、グループとしての実体が定まらないことが多いので、この活動が結果的に未来にどう繋がっていくのかは暫く見守るしかないのかもしれない。