先生、今から℃-uteにハマってもいいですか?

症状が出始めたのは昨年末でした。今の℃-uteを見ておくことは恐らくそう遠くない未来、彼女たちが盛大で華やかなステージへ昇り詰める物語の一端を見つめられるかもしれない、ほとんど打算的に彼女たちを観察するつもりでいました。私は何かにハマり込む時、2つのパターンがあります。この先にある物語はきっと素敵なサクセスストーリーになるに違いないと自ら選択し物語を買うパターンと、もうひとつはそんな未来を見据えた冷静な判断も出来なくなる程に本能的に溺れていくパターンです。℃-uteに対する向かい方は当初、前者でした。

打算的に武道館DVDを購入し、私は今この瞬間を生きる℃-uteの目撃者になるつもりでいました。ハロープロジェクトという箱の中で清く正しく美しく成長してきた彼女たちの物語を、私は遠くから適切な距離を取りながら読み取ろうと思っていました。しかしここからが本題なんです、先生。彼女たちを見れば見る程、私は大人の自分を逸脱し、少女の様な気持ちを宿してしまうのです。テレビで甲子園球児を見る度に、明らかに自分より歳下であるにも関わらず、みんな自分より歳上に見える現象ってあるじゃないですか、あれと同じなんです。勇ましく球場に立ち夢を追いかける強さは、自分が嘗て持ち得たことのない精神力であることが想像出来、その瞬間に私は彼らより人生経験の少ない人間へと降格していくのです。「降格」という表現をしましたが、これはけして「退化」と同義ではなく、彼らへの尊敬の念を示すために敢えてもう一度人生を回り込む様なイメージです。℃-uteを見ている時に感じるものもそれと同じです。最年少である17歳の萩原舞さんよりも私は精神的に若返り、彼女たちに恋焦がれるのです。これまでにもアイドルを追いかけて来て今更何を言ってるのかと思われるかもしれませんが、あぁこれがアイドルに対する憧憬の原点だったと改めて感じているのです。

では実際にどのような症状に悩まされているのかお話します。主な症状としてはYouTubeにアップロードされているMVのリピートが止まりません。ハロープロジェクトは各グループに公式アカウントが用意されていて、そこで惜しげも無くシングルのMVが全編公開されています。更にはDance Shot Ver.なんてものまで公開されているので、私はMVよりもそちらの方をよく繰り返し見てしまいます。Dance Shot Ver.では彼女たちの美しい顔は鮮明には見えませんが、その代わりに人形の様に完成された細長く白い手足で行われる迫力あるダンスを堪能することが出来ます。無料でこれほどまでに楽しんでしまっていいものだろうかと思う程見ています。YouTubeにMVを全編あげることでCDの販促効果が無くなってしまうことを懸念して、途中までしかアップしないもしくは全くアップしないアイドルグループも多数ありますが、私は逆にYouTubeにアップされることでこの音源が欲しいと思う様になりCDを購入しました。CDに特典を付けて売る時代に、YouTubeで動画を見て音源が欲しくなりCDを買う、回りまわってCDを購入する本来の目的に戻って来たのです。それでは私が特に繰り返し見ているものを並べていきますので、先生は診断の参考にして下さい。

  • ℃-ute 『Crazy 完全な大人』 (Dance Shot Ver.)


℃-ute 『Crazy 完全な大人』 (Dance Shot Ver.) - YouTube
最初に見た時は何だこの衣装は!身体の表面積に対して圧倒的に布が少ないではないか!とメンバーの父になった様な気持ちで目を当ててはいけない気がしていました。しかしこのゴツゴツとして彼女たちの四肢の細さが強調される衣装にだんだん釘付けになり、特に鈴木愛理さんのキュッと締まったくびれにはたちまち夢中になりました。父の気持ちで見ていたのに、あっという間に危ないおっさんです。イントロでぐるんぐるんとポニーテールを回す中島早貴さんの豪快さにも惚れましたが、この中で最もこの衣装が似合いすぎている最年少の萩原舞さんがお気に入りです。明るい髪色に普段は子供っぽい印象の彼女が終始ツンとした表情でこちらを見てくれるのです。サビでは鈴木愛理さんのソロパートに続いて「でしょ」とだけ歌うおよそ2秒にも満たない歌パートがある訳ですが、その部分の力強さに「舞様…!」とひれ伏せたくなるのです。

  • ℃-ute 『愛ってもっと斬新』 (Dance Shot Ver.)


℃-ute 『愛ってもっと斬新』 (Dance Shot Ver.) - YouTube
「学校の近くの廃墟を溜まり場としてダンスの練習をしているスクールカースト上位層の女の先輩たち」というコンセプトかどうかは知りませんが私はそういう目でいつもこの動画を見ています。部活の練習が終わって自転車で帰ろうとしたところ、何やら近くの廃墟の中から音楽が聞こえる。その中をそっと覗いてみたら、普段学校では絶対に声をかけることが出来ない上級生たちの姿があるのです。放課後はすぐに街へ出て遊んでいると思っていた彼女たちが、こんなところでダンスの練習をしていたなんて、しかも素人の目に見ても分かるくらいめちゃくちゃ上手い、興奮した私は近くにあったバケツを倒してしまい、先輩たちが私の存在に気づいてしまうのです。矢島舞美先輩がブーツの音をコツコツと鳴らしながら迫ってくるので逃げ出したいものの、腰を抜かして動けない。近づいて来た矢島先輩はにっこり笑いながら「内緒だよ」とだけ言うんです。女神。この世に女神は存在していたんだと思うくらい眩しい矢島先輩に、私は片想いを開始するのです。

  • ℃-ute『ベーグルにハム&チーズ』(MV)


℃-ute『ベーグルにハム&チーズ』(MV) - YouTube
上記2曲では℃-uteのかっこよさが全面に出ている曲を紹介しましたが、今回はもうひたすらに可愛いんです。ひとつの白いベッドの上に5人で乗っかって過剰なスキンシップを取りながらじゃれあってる。あの威圧感のあった先輩たちが実は5人で共同生活をしていた、なんて裏の事実まで知ってしまったら、矢島先輩に恋をしてしまった私はもう気になってしょうがないのです。この曲の最後には鈴木愛理さんの「行ってくるね」という台詞がありますが、その後みんなでカメラに向かって「行って来ます」の意味を込めて手を振るのですが、萩原舞さんは一番に手を振るのを辞めて、手を目の下に当てて泣き真似をするのです。それを見て全員が泣き真似ポーズに入るのですが、この時の舞様の勘の優れた可愛さったら何なのでしょうか。「Crazy 完全な大人」では舞様に踏んづけられたい欲望すらも浮かんだのに、この曲では仕事に行ってしまったら彼と離れてしまうのが寂しくて泣いちゃうのです。そんな顔されたら細い腕を掴んで引き止めちゃう、今日会社休んじゃえって言っちゃう。舞様に日常を狂わされるなんて本望です。


先生、私の話ちゃんと聞いてましたか。途中で寝てませんでしたか。最近の私は毎日こんな調子なんです。もう我慢出来なかったので今月は人生初のハロコンに足を運ぶことにしました。今までジャニーズ事がない限り遠征はしない主義で、女子アイドルの現場はそのスケジュールに合うものだけ足を運ぶようにしていましたが、今回はハロコンだけのために遠征するんです。最近では遠征のことを少々億劫に感じているところすらある私が、℃-uteの為に既に浮き足立っているのです。新規特有の高揚感に浸っています。目の前には大きな歴史の山がそびえ立っていますが、先生、私今から℃-uteにハマってもいいですか。