遂に待望のあの子たちがデビューしたとのことで今日CDを購入して来た。私が初めてあの子たちの映像を見たのはちょうど東京遠征していた時の電車の車内だった。あれは山手線だったか東京メトロだったか、それは忘れてしまったけれども、広告映像が順番に映し出されるモニターの中に、女の子の顔のアップが見えた。また新しい女子アイドルが誕生したのだろう、もしくは私が知らないだけで最近勢いのある子たちなのかもしれない。女子アイドルの知識は年々乏しくなって来ているので、私が知らない子たちがモニターに映し出された可能性も十分にあった。しかしながら電車の車内でCMが流れるともなると、なかなかの広告費がかかっていると思われる。AKB48でもないしももいろクローバーZでもないあの子たちは何者なのか、私はくるくると変わっていく女の子のアップを見つめていた。
………?!?!?!私、この子たちの事知ってる……!!!この子も、この子も、この子も、顔を見たことある……!!!それが私とキャンジャニ∞の出会いだった。私はその中でも最後に映し出された錦子の美しさに度肝を抜かれた。錦子と出会ったのはその時が初めてだったが私は錦子の顔のつくりをよく知っていた。大きくて強い目、立派な鼻、はにかむように微笑んだ時にも大きく開いてしまう口、二次元に落とし込むとすれば筆圧強めに書きそうになる錦子のスッピンを私はよく知っていた。そんな錦子の濃い顔がプロのヘアメイクさんの力によって疑いの余地もない程の美少女へと変化を遂げていて、私は電車の中で口を開きっぱなしだった。もともと綺麗な顔であるとは思っていたが、こんなに人は変わってしまうのかと、暫く錦子のことが頭から離れなかった。
その時はまだ彼女たちのCDデビューは決まっておらず、CMで何度か見かける彼女たちのことは、外面的な部分でしか捉えることが難しかった。美しい錦子がどんな性格をしているのか、知りたいと思いながらも機会がなかった。そんなところに彼女たちのCDデビューが決まり、マスコミ向けのコメントが公開された。錦子はキャンジャニ∞のエースらしく、当たり障りない真面目なコメントをしていた。私はそのコメントを読んでいく中で、一人のメンバーのコメントに衝撃を受けた。「いまだに夢じゃないかな、ってホッペをつねっています。丸子みたいなブサイクな子がいるのにデビューできるなんて。」他のメンバーのことを「ブサイク」と言い切っている女子アイドルに私は未だ嘗て出会ったことがなかった。そのコメントをしていたのは最年少の倉子である。この日、倉子は丸子のファンから強烈なバッシングを受けたかもしれないが、私はこの「誰かを蹴落としてでも上へ昇ろう」と欲望剥き出しの倉子のことが嫌いじゃなかった。むしろその不器用さを愛おしいと思った。こうして私は錦子から早々に倉子へ推し変した。
購入したCDはまずCD内に収録されている、キャンジャニ∞の冠ラジオ番組「キャンディーアフタヌーン」から聞いた。全員が割とおっとりした喋り方をしていて、上の方針なのかなと思った。そのラジオ番組内でも我が推しメン・倉子は丸子への敵意を剥き出しにしていた。丸子が何かをする度に「ブスのくせに」と突っかかっていく倉子は、最年少らしい不器用な振る舞いで私にはグッと来た。丸子も自分に対して厳しい言葉をかけてくる倉子に対立する構図になり、他のメンバーが何でそんなに分かり合えないのかと宥める横ですば子が発した「どっちもブスよ」がこの冠番組一の名言だった。メンバー同士で争うなんてその行為自体が「ブス」であると両者を否定したすば子の強さ。またすば子のような重心となるメンバーから発せられる言葉の凄みを改めて実感したシーンだった。
次に「CANDY MY LOVE」のMVを見た。私はこのCDを買うまで、この曲がどんな曲であるか情報を仕入れることなく楽しみにしていたのが、驚く程すば子無双だった。CDのジャケット写真は錦子がセンターを務めているので、私はこのキャンジャニ∞のスーパーエースは勿論のこと錦子なんだと思っていた。とんだ勘違いだった。また衣装にも格差はない為全員にソロパートがあるものだと思い込んでいたが、全編においてすば子がメインボーカルで他のメンバーはハモリである。今流行りのE-girlsの様に、ヴォーカルとパフォーマーに分けるという方針をキャンジャニ∞もとったのかもしれない。しかしながらジャケ写のセンターは錦子である。これを見た錦子のファンはがっかりしなかったのだろうか。
またこのMVには違和感がもう一つあった。メインボーカルを務めるすば子が、途中で関ジャニ∞の錦戸亮さんに恋焦がれるような表情で見つめるシーンがあるのである。恋愛は御法度とされる女子アイドルの世界で、デビューシングルでこんなことがあっていいのかと私はひどく混乱した。キャンジャニ∞側がジャニーズ事務所に出演依頼を申し出て事務所と錦戸さんがそれを承諾しているのだから、恐らく公認なのだろう。こ、こ、こんなことがあっていいのか。MVを見たすば子のファンと錦戸亮さんのファンがどうなったのかが心配でならない。けれども世界は一歩前進したような気もする。男女アイドルの関係なんて、これくらいオープンな方がいいのかもしれない。
そんな訳で私はキャンジャニ∞を気に入っている。慎吾ママと同じくらい気に入っている。同系の「キャンディクラッシュ」のCMに出演していた岡田准一さんはここまで体を張っていなかったので、ちょっと羨ましいなどと思ってしまった。セカンドシングルを待望している。倉子にはいつか丸くなってセンターを獲りにいって欲しいと思っている。