「なるだけ近くでHello! Projectのライブを体験してもらおう!」をコンセプトに全国のライブハウスを中心とした会場でライブを行う「ナルチカ」。その高知公演に胸弾ませながら行って来た。
このブログで住まいを晒すのは初めてかもしれないが、私は高知県に住んでいる。四国の中でも極めて本州からの距離が遠く交通の便も悪く、集客力にも欠けることから、アーティストやアイドルがわざわざ足を運んでくれることは少ない。アイドルのファンとしては常に遠征を強いられ、それでも安易に目に入れることが出来ないからこそ、彼らや彼女らの存在は輝きを増していく。遠い分の距離は地方民だけが手に出来るアイドルの存在価値を高める特別な要素だ、とでも思っていないとやっていられない。
そんな四国の片隅にアイドル側から来てくれるというのだ!両手を挙げて万歳するしかない!普段の遠征ならばライブの10時間以上前、もしくは前日に家を出発しなければならないが、ライブの2時間前に出発しても余裕のよっちゃんで会場に到着するのだから涙が出る。しかも来てくれるのが天下のハロプロ様だというのだから、もう今後つんく様には足を向けて寝ることが出来ない。
会場は高知クロスポイント。普段は地元のバンドなんかがライブをする場所でアイドルがライブする箱としては極めて小さい。観客は横に10人強並ぶのが精一杯というレベルの狭さで、今回は5人組の℃-uteと6人組のスマイレージだったが、来週10人組のモーニング娘。も同じ場所でライブをする予定ということで、開演前は各地で「来週娘はこんなところでパフォーマンスができるのか」と心配の声が囁かれていた。
高知に来てくれるからと勇んで駆けつけたものの、私は雑食気味ではあるが、女子アイドルと言えばどちらかと言えばAKBグループを愛して来た人間であり、ハロプロに関してはミーハー程度の知識しかなかった。それでも今年の夏、今のモーニング娘。のパフォーマンスに圧倒されて本気で涙を流してしまった経験があり、身体は素直にハロプロのクオリティに感動し、もう一度その体験を欲していた。「なるだけ近くでハロプロのライブを」というコンセプトは、今私が持っている欲望と綺麗に合致していて、今回はとても贅沢な巡り合わせだったと思う。
℃-uteについて
「今の℃-uteすごいから見て!」というのを周りのハロヲタが口を揃えて教えてくれていたのに、私という人間は10年以上もハロプロという団体に所属していた女の子たちに改めて目を向けるのがどうも恐ろしく薄目で過ごしてきた。モーニング娘。のリーダー道重さんよりもハロプロ所属歴が長いと聞いただけで、彼女たちこそが“ザ・ハロプロ”なのではないかと、パフォーマンスも鬼気迫ってくる勝手なイメージがあり、また10年も歴史のある子たちを改めて1から知り始める勇気がなかった。
しかし彼女たちがステージに登場した瞬間に、そんなことはどうでもよくなった。10年間人に見られるということを続けて来た女の子たちが、正しく美しくなり、正しく精度を上げ、パワフルに歌い踊っている。そこには誰もを納得させる経験値があり、堂々とした立ち振る舞いには日本のアイドルよりも、海外のアイドルに通ずるプロフェッショナルを感じた。
アイドルの黄金比とも言われる5人組という人数で、誰がセンターに立っても迫力は軽減されることがない。誰ひとりとして遅れを取ることなく全員が同じ歩幅で℃-uteという成長ステージを一歩一歩進んで来た感じが見てとれる。「今の℃-uteすごいから見て!」と友人らが口々に私に説いていた理由を体感し、今度は私が誰かに伝導していかなきゃと思ってしまった。ライブから帰って来た翌日も、ずっと彼女たちのライブ動画を漁って見ていたくらいには、まだ身体が痺れている。
ute 『愛ってもっと斬新』(℃-ute[Love is more innovative]) (MV) - YouTube
スマイレージについて
実はスマイレージについては4人の時代に少しだけかじっていた。「夢見る15歳」でデビューした彼女たちは、まだ“ザ・ハロプロ”感というよりもフレッシュさの方が先行していて、私のようなミーハーでも食いつきやすかった。ちょうどアイドル戦国時代と呼ばれるようになった頃にデビューした彼女たちは、ハロプロを再燃させる着火剤になるのではという期待もしていた。
しかし秘かに推していた最年少の小川紗希さんが卒業し、スマイレージの看板娘として存在感抜群だった前田憂佳さんも卒業し、2期メンバーが加わった辺りから一気に分からなくなってしまい、スマイレージを追うことを放棄してしまった。なので今回は、2期メンバーを改めて勉強しようという心づもりで挑んだ。
2期メンバーがビジュアル的に弱いという話はハロヲタの友人たちから聞いていたが、その分個性溢れるメンバー揃いですぐに顔と名前とキャラクターを一致させることができた。中でもパフォーマンスに勢いがあって、釘付けになったのが田村芽実さん。何処か男性のような荒っぽさもあるけれど、若さを使い切ることに余念がない。狭いステージでみんなパフォーマンスが萎縮しがちな中で、田村さんだけは全力だった。楽しいという表情も、くしゃっと笑うのではない、ぐしゃっと笑うのだ。彼女はロックアイドルだなと思った。
スマイレージ 『ええか!?』 (S/mileage[Do you get it?]) (MV) - YouTube
私の勉強不足により知らない楽曲もあったが、総じてハロープロジェクトという信頼できるクオリティの中にあり、その温度や湿度に包まれる感覚は心地よかった。特に歌ダンス共にハイレベルに仕上がった℃-uteのパフォーマンスを間近で体感出来たことは、私の中のアイドルに求めるレベルの基準が揺れるような感覚もあり、極上の体験だったと思う。また彼女たち自身も地方の小さなライブハウスで行うライブに、新たな楽しみを見出していたようにも感じられて、地方アイドルヲタとしても胸高鳴るものがあった。
実は来週も同じ場所でモーニング娘。が「ナルチカ」を行うということで遊びに行ってくる。2013年12月、未だ嘗てない程の密度と頻度でハロプロを摂取する贅沢に、しばらくの間は興奮状態が続きそうだ。