
初めてのAぇ! groupのライブに行ってきた。実は去年のデビューツアー有明公演に知人からお誘いいただいて行くつもりでいたのだが、台風が来て中止になってしまって行けずじまいだったのだ。Aぇ! groupは関西から生まれたグループでデビュー時は正直なところそこまで知識があった訳ではなかったのだが、不可抗力でライブを見に行けないとなると不思議なことに何だかより興味が湧いてしまうものである。そうこうしている内に15年来の友人が年末に末澤誠也さんにハマったこと、私自身も年末に放送された『真夜中の社内恋愛』で末澤さんの美しさに魅了されたこともあり、今年ツアーがあったらリベンジしたいと意気込んでいたのだった。
名盤と呼ぶべきファーストアルバム
今回のツアーは2月に発売されたファーストアルバム『D.N.A』を引っ提げたツアーなのだが、とにかくこのファーストアルバムがめちゃくちゃ良かった。アイドルのファーストアルバムに相応しくまるでおもちゃ箱のように様々なテイストの楽曲が入っている。
その中でも『Colorful Days』はSMAPを想起させるようなサウンドと、女子アイドルのように顔周りの手振りが多く可愛いダンスとで、とにかくハッピーな雰囲気を纏っていてTHE☆アイドルな楽曲である。実際のライブの中でもメンバーそれぞれがカラフルなカラーの衣装を纏って花をバックに踊っていて春らしく鮮やかで初々しさを感じられる演出になっていた。
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そしてアルバムの一曲目に入っている『Hello』もめちゃくちゃに良い。サビの歌詞「僕たちは才能だって足りなくて それでも諦めたくなくて 名前を呼ぶその声に 手を引かれ走ってきたんだ」は、彼らのデビューまでの下積みを思わせるし、それがファンの声によって夢を見続けられたことを示しているようでグッときてしまう。もちろんここで歌われる「僕たち」はこの曲を聴く人自身に置き換えることも可能なので、夢を追いかける人の背中を押す楽曲として聴ける点も、アイドルが歌う夢ソングの醍醐味としてとても良い。
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それ以外にも恋人への未練を歌う『脳内ラプソディー』もアイドルが歌う失恋ソングとして大正解を叩き出していたし(末澤さんがMCで「未練はあればあるほどいい」と未練ソング過激派な発言をしていたのも面白かった)、『AKAN』も関西の言葉「あかん」と「圧巻」で韻を踏みながら葛藤する気持ちをポップに歌っているのも良かった。これらの楽曲が詰め込まれたアルバムをベースにライブがつくられているので、全編を通してデビューして間もないフレッシュなアイドルらしさと、一方でこれまで様々なステージで積んだ経験値の高さが融合して、どちらの側面も魅せてもらえる満足度の高いステージになっていた。
Aぇ! groupのボーカルの厚さ
ライブに行く前の印象としては、Aぇ! groupのボーカルをメインで担っているのは末澤さんと佐野さんだと思っていた。末澤さんはセンターに立つことも多くまた高い音域が得意な印象があり(自己紹介ソング『僕らAぇ! groupって言いますねん!!!!!』でも末澤さんのパートは「声高い」から始まる)、また佐野さんは高校で声楽科に通っていた経験があることから歌声が安定的な印象を持っていた。5人中2人がボーカルに強みを持っていることはグループにとって十分なアドバンテージだと思っていたのだが、もう一人注目すべきボーカリストがいたのである。それが、リチャードだった。先述した『Hello』の大サビもリチャードの歌唱パートなのだが、彼が中央に立ちスポットライトを浴びながら歌う大サビは、いかにもアイドル的で綺麗だった。5者5様のバリエーション豊かなボーカルの中で、リチャードのソロが入ることによって、一度リセットされるような感覚があり、それを挟むことによってユニゾンがより映えることを実感できた。Aぇ! group、ボーカルが厚い…!!
圧倒的熱量のファンダム
Aぇ! groupのファンがこんなに熱いだなんて知らなかった…!と公演終わりに興奮してしまったほど、ライブ中のファンの声量が大きかった。後半のバンドブロックにおけるペンライトの振り幅は大きいし、何よりアンコールの声が近年聞いたことがないくらい大きかった。本編が終わった後に始まるアンコール、昨今はアンコールまでをセットとしてライブが組まれていることも多く、全員が一体となって大声を出すという本来あるべき姿にならないことも多い。しかし、Aぇ! groupのファンはとにかく全員が全力で声を出してアンコールを熱望していて、会場全体が一つになっている感覚を味わえた。これは過去にアンコールの声が小さくて本人たちが出てこなかったことが実際にあるからだと教えてもらったが、アンコールを当たり前のものとしない演者側も、それを心得ていて必死で声を出すファン側もどちらも痺れる。本来他のグループの会場でもこれくらいアンコールを熱望する空間を作り出さねばならないのではないか、それが誠実なアンコールではないかと、反省させられる想いだった。デビューして1年未満ながらもこの熱いファンダムを作り出せていることに拍手し、私もいつも以上に声を出すほかなかった。
という訳で初めてのAぇ! groupライブ、グループやメンバーの解像度が上がったり、ファンとして初心にかえる経験ができたりと、とても楽しかった。ファーストアルバムはあまりに良いのでライブが終わった後も繰り返し聴いている。年次が上がるとコンセプトの強いアルバムやライブに切り替わっていくと思うが、バンドもできる彼らがこれからどんな方向性の音楽を展開していくのか、引き続き楽しみにしている。