「勝つんだWIN!」の中毒性について

あれから3日3晩飽きる事なく「勝つんだWIN!」を聴いていた。他の曲を間に挟む事なくただただ1曲をひたすら聴き続けるという中毒性に出会ったのはいつぶりだろうか。山下智久さんの「怪・セラ・セラ」以来かもしれない。朝起きて家を出る前に「勝つんだWIN!」、会社に向かいながら「勝つんだWIN!」、仕事終わりに帰りながら「勝つんだWIN!」、帰宅してからも寝るまで「勝つんだWIN!」。もうこれだけ聴いたら絶対勝てる気がするけど、今のところ勝ち負けを競う試合に出る予定も必勝祈願しなければならない様な人生の岐路にも立っていない。平々凡々と暮らす日々の中に突然投げ込まれた「勝つんだWIN!」、この曲の中毒性について書き記しておきたい。

私がこの曲を知ったのは5月6日に放送された「ザ・少年倶楽部」の映像がきっかけになるが、この曲が世にお披露目されたのは、それよりも遡ること1ヶ月半前、3月26日のSexy Zone横浜アリーナでのコンサートが初お披露目にあたるらしい。その当時は永瀬廉くんと岸優太くんが別仕事で居なかった為、他のジャニーズJr.メンバーがアンダーとして加わり披露していたと教えて貰った。「勝つんだWIN!」という勝負を意識されたタイトルや歌詞、またしっかり作られた振り付けやフォーメーションから、ジャニーズJr.の曲として一時的に消費される為に作られた楽曲とは思えない製作陣の気概が感じられる。いずれ何らかの形でディスク化されると予想出来るが、どんな形でのディスク化になるのか、ファンが考えている理想の形になるかは、現時点誰にも分からない。4年に一度「ワールドカップバレーボール」が近付いて来ると、その時にデビューする予定のジャニーズJr.達に、そのデビュー曲の候補になっている曲を事前に披露させるケースは少なくない為、今回もその類であると踏んでいる。いや、そうあって欲しいと願っている。

  • 「勝つんだWIN!」の作詞者について

作詞者はケリー氏。ジャニーズの楽曲でケリー氏が作詞を担当した楽曲は他に、Sexy Zoneの「With you」「GAME」「待ったなんてなしっ!」、ジャニーズWESTの「浪速一等賞!」「for now and forever」がある。Sexy Zoneの「With you」はちょうど4年前の今頃、デビュー発表前のSexy Zoneの面々が同じように「ザ・少年倶楽部」で披露していた楽曲である。「勝つんだWIN!」はタイトル通り、「デカい夢追いかけて 何があっても上に行こう」という上昇志向の楽曲であるが、ケリー氏の他の楽曲の歌詞を覗いてみても、恋愛に関する楽曲はなく、一貫して夢を追いかける為に自分を見つめ直し自分自身を鼓舞する内容が書かれている。Sexy ZoneジャニーズWESTという2組の楽曲に携わっているということから、ジャニーズの楽曲制作には最近加わった方かと思われるが、「With you」や「浪速一等賞!」など、これからデビューしていくアイドルに歌わせる為の楽曲を作る上での重要人物であることが伺える。

  • 「勝つんだWIN!」の作曲者について

「勝つんだWIN!」の作曲者は二人いる。まずNiklas Edberger氏。氏が過去に作曲した曲は2曲のみで、滝沢秀明の「愛・革命」、そしてKAT-TUNの「MAKE-OR-BREAK」の2曲である。
もう一人はTakuya Harada氏。彼が過去に作曲したジャニーズの楽曲は、V6「愛をこめて」「BREAK OUT」、堂本光一「A Silent Night」、嵐「あの日のメリークリスマス」「駆け抜けろ!」「誰も知らない」Beautiful days」「FUNKY」「Breathless」「ROCK YOU」、松本潤「Dance in the dark」「Yabai-Yabai-Yabai」、山下智久「溺愛ROBOT」、Hey!Say!JUMP「明日へのYELL」「Hands Up」、中山優馬「High Five」、Kis-My-Ft2「S.O.S (Smile On Smile)」「JET! SET!! GO!!!」「Chance Chance Baybee」「Perfect World」「若者たち」、Sexy Zone「今日はありがとう」「High!! High!! People」「Party up!」「僕は君のすべてになりたい」、佐藤勝利「キミのため ボクがいる」、ジャニーズWEST「Can't stop」、とグループの縛りはなく多岐に渡っている。他の作曲者との共作が多い為、氏一人のみクレジット表記になっている楽曲は太字にしてある。CDシングルの表題曲になっている楽曲も数多い為、今回の「勝つんだWIN!」もそれだけの力を持つ楽曲として選ばれた可能性が高い。

  • 「勝つんだWIN!」のダンスについて

楽曲の中毒性もさる事ながら、この曲は聴いているだけでなく見ている分にも中毒性が高い。それは偏にマイクを持っているジャニーズJr.の子たちの持つパワーに魅せられているだけではないかと思われるかもしれないが、これが曲に負けず劣らず振り付けも非常に趣向を凝らしたものになっている。6人組のフォーメーションと言えば普通2:4、3:3で構成されることが多いが、「勝つんだWIN!」のフォーメーションは、1小節ごとにとにかく変則的に動き回る。3:3で歌っていたかと思えば、片方の3人は固定のままその周りを他の3人がぐるっと回りながらいつの間にか全員が斜め1列に並んでいるというマジックの様なフォーメーションが多々ある。ソロパートの偏りはあるものの、固定した「センター」という概念はないようで、代わる代わる別のメンバーが前に出てきては後ろに下がっていく違和感のないフォーメーションが組まれている。何回観ても飽きる事なく見ていられるのはこのフォーメーションの巧さも原因の一つである。

  • 「勝つんだWIN!」を歌うメンバーについて

先ほど「センターという概念はない」と書いたものの、この楽曲の中で最もソロパートの比重が多く楽曲のシンボルとして存在するのが平野紫耀くんである。誰が見ても等しく美しく華やかであると感じられる容姿をしていて、また振り付けを踊る際のちょっとした仕草が少し周りと違っていても、それ自体が基準になってしまいそうなカリスマ性が感じられる。そしてその平野くんとセットで語られるのが永瀬廉くん。平野くんとは対照的な光を放ち、他のメンバーが「動」であるところに、永瀬くんは一人「静」で魅せてくる。前髪の隙間から見える澄んだ瞳と、終始固く閉ざされた表情から、まるでどんな人物であるかを読み取る事が出来ないが、そんな永瀬くんが大サビ前にだけ唯一にこりと笑うのである。そこで笑顔を見せる為に、これまで表情を変えなかったのではないかと思う程、その場面での破壊力が凄まじい。そして、女の子の様な可愛らしいビジュアルをしているのが岩橋玄樹くん。数年前ジャニーズJr.の特番で本番前に緊張のあまりお腹が痛くなりその場に蹲っている様子が印象的で、そのメンタルの弱さに守りたくなる要素満点だったと思っていたのに、いつの間にか決め台詞の後にチュー顔を放つ事が出来る自信家に成長して裏切られた気分だった(褒めている)。岩橋くんはダンスもしなやかで女性的な柔らかさを持っていて、前列に移動して来るとついつい目で追いかけてしまう。そんな岩橋くんと対称の関係にあるのが神宮寺勇太くん。サビ前に平野くんと顔を近づけ向き合う場面があるが、平野くんとはまた別の華があり、個と個がぶつかり合って混ざり合う瞬間の面白さがある。この6人において神宮寺くんが実はキーパーソンなのではないかと感じていて、シンボルである平野くんと向き合ったり、岩橋くんと対称の関係にあったり、誰かの対になる事でそのシーンの景色を作り上げているのが神宮寺くんである。そして最年少の高橋海人くん。ダンス経験者という事から細長い手足でダイナミックに踊り、また一列に並んだ時のジャンプが誰よりも躍動感溢れていて、全体の勢いの良さやフレッシュさを作り上げている。また他のメンバーの周りを一周しながら移動する際、手はフリーであるが、その時の仕草に自然なかっこよさを作り出すセンスが光る。最後は最年長の岸優太くん。以前にコンサートで見た際も、一人だけギラギラした目をしていて迫力が他のJr.と違っていたのが印象的だったが、この楽曲においてももれなくギラついている。ダンスはキレキレで手足の動かし方が機敏。表情も獲物を狙うハンターのようでこの楽曲の世界観にマッチしている。「勝つんだWIN!」というよりかは「勝たなきゃ死ぬんだWIN!」ぐらいの勢いである。そんな個性溢れる、けれども確かな実力を備えたメンバーで作り上げられた「勝つんだWIN!」を、私は延々繰り返し見てしまう。

この楽曲が今後どういう風に進化していくのかは現時点分からないが、私はこの2015年6月時点の「勝つんだWIN!」が好きである。もしかしたら今後この形が永遠に残る訳ではないかもしれないという儚さがより一層この曲の魅力を膨らませているのかもしれないが、だけど2015年6月時点の「勝つんだWIN!」はこんなに面白かったという感覚を忘れたくないが為に今回記した。いつか万が一形が変わってしまうような事があったら、またこのエントリーを読み直す事にしたい。