正真正銘13月、君とJETなDOするLIFEなう

2016年1月29日、私たちはようやく13月にたどり着いた。12ヶ月目の次の未来、ユートピア。悲劇の先にたどり着いた新たな世界、そこで感じたことをここに記しておく。

テレビ朝日で放送された「ミュージックステーション」、そこに「勝利&健人 with ジャニーズJr.」の名義で、総勢82名の少年・青年たちが、舞台「ジャニーズワールド」に基づく数分間のパフォーマンスを披露した。私はその映像を見ながら泣いてしまった。涙は時に感情が沸き立つよりも先にフライングで流れる。どうして自分がこの映像を見ながら泣いてしまっているのか、答えにたどり着くまでに数分を要した。ふと、自分が初めてジャニーズのパフォーマンスに感動した日のことを思い出した。NHKの音楽番組「POP JAM」に出演していた、当時ジャニーズJr.内の期間限定ユニット「☆☆I★N★G★進行形」のパフォーマンスを見た時、その映像の躍動感に私はひどく感動し、ジャニヲタになった。あの時もこうして、東京からは遠く離れた地方で、画面を通して数分間のパフォーマンスに全力を捧げる少年たちの姿に、言葉では語り尽くせない感動を覚えていた。敢えて言葉で表現するとすれば「祭りの日」の感覚に近い。そこに明確な主人公はいなくて、全員がその日、主人公になれる。踊っている者も、観ている者も、その日を境に物語が動き始める、そんな「祭りの日」の高揚感に近い。

「勝利&健人 with ジャニーズJr.」という名義であるからに、確かにSexy Zone佐藤勝利くんと中島健人くんが中心に立って、大勢の少年たちを先導していた。本来、ジャニーズJr.が「ミュージックステーション」等の音楽番組に出演する際は、「先輩のバック」にポジショニングされることが多い。しかし今回の放送では、「勝利&健人のバック」というポジションに徹するのみでなく、主要グループそれぞれに見せ場が用意され、また衣装も各グループが別の色のものを着用し、「統一性」よりも「全体の華やかさ」が重視されていた。次から次へと、違う魅力を持ったジャニーズJr.がカメラに映し出される。またそこで踊っている振り付けも、一列目、二列目、三列目、と立ち位置によって異なっている場合もあり、そこでしか出来ない責任を果たそうとしている姿にじわっと胸が熱くなる。

披露した曲は、今回の「ジャニーズワールド」でも度々流れていた「Hi Hi Jet」。舞台の一幕で流れた時、その楽曲の中毒性に身体がすぐに反応し、幕間に「Hi Hi Jetをあと5分聞かされてたら、私もう駄目だったと思う」と呟いたら、知人から「二幕でも結構流れるよ」と言われた時の衝撃を思い出す。そして予定通り二幕で止めを刺された。そんな麻薬曲が今回お茶の間に流れるというのだから、日本が海の底に沈まないか心配した。「君とJETなDOするLIFEなう」というキャッチーな歌詞が、胸の裏の方をくすぐる。駄目だ、やっぱり好きだ。負けだ。誰にも挑まれていないのに、好きになったら負けゲームで勝手に敗北した。

バトン、ローラースケート、バスケ、ドラム、アクロバット、まるで飛び出す絵本のページを高速で開いていくかのように、次々と場面が展開されていく。「1分1秒飽きさせない、それがジャニーズワールド」という台詞が舞台にあったが、1秒どころか0コンマ1秒単位で飽きない。瞬きをしている間に、画面上の多くの情報を見逃してしまう。私たちは一体何をそんなに急かされているのだろうと思う程、1秒に託された瞬間の一つ一つに真剣になってしまう。これはきっと美しい容姿の男の子が演っているから美しいのではなく、全員が同じ方向を目指して創ってきた一つの作品だから美しいのだということに気付くまでに時間はかからない。ここまでたどり着くのに82通りの物語があって、またここから82通りの物語が枝分かれしていく。それぞれの物語の途中にある、この合流地点の美しさに心が揺さぶられていた。これはデビュー組には表現出来ない美しさ。ジャニーズJr.の集合体だからこその美しさ。

ここがきっと正真正銘の13月。悲劇の先にたどり着いたユートピア。時の旅人になって私もこの13月を生き続けたいと思ったが、現実は正直なもので、2016年2月をカウントし始めた。「簡単な世界じゃないからワクワクするね」私も世界の複雑さを楽しめる人間でありたい。