いつまでも嫉妬させてくれ

日曜日、私は体調を崩して昼寝をしていた。先週は平日前半出張で東京に行ったり後半も遅くまで残業をしていたので、今週末は絶対にどこにも出かけずゆっくりすると決めていたのだ。夕方そろそろ起きてウォーキングに出かけなければと思い、目を覚ますためにTwitterを開いたら「嵐…嘘でしょ…」というツイートが目に飛び込んだ。たった5文字のその言葉で何かよくないことがあったということは誰にでも分かる。動揺したジャニヲタの呟きがザーッと一瞬にして流れていく中で、ニュースサイトの「嵐、来年末で活動休止」を見つけてすべてを理解する。来年末…?今年ってまだ始まったばかりなのに今年の年末でもなく来年末…?平成何年…?いや新しい元号の2年目か…?2020年…?オリンピックイヤー…?えっ、ていうか何で…?寝起きの頭で理解するには情報が過激過ぎる。一旦落ち着こうぜ。何のために起きたのかってウォーキングのためだったからウォーキングしようぜ自分。

いつものウォーキングコースを歩きながら頭の中を整理する。大野さんの自由に暮らしてみたいという気持ち、とてもよく分かる。それはけして縛られていたとかそういうことではなくて、限りある人生に才能溢れる大野さんが選択すべき道はきっと沢山ある。もうこの道しかないと思って生きているよりも遥かに健康的で人間らしい選択肢だ。それをグループが、そして事務所が受け入れた。何て素晴らしいことなんだ。働き方改革。時代に合った良い選択だ。そう思えば思う程、喉の奥にツーンとした違和感が残る。じゃあ何で、私は歩きながら泣いているのか。

2018年も様々な出来事が過ぎていった。その全部を機嫌よく飲み込むことはもう諦めた。時間が解決してくれるまでゆっくり自分の中で消化していこうと思っていた。何かあった時に聞き分けの良いファンでいたいと思っていたが、そうなるには私の中の美しい思い出が多過ぎた。2018年はきっとジャニーズ事務所の歴史に残る一年で、きっとこの年を抜けたらまた元に戻って慌ただしい感情から解放されるのではないかと漠然と思っていた。しかし2019年も相変わらず感情は忙しい。

嵐のことを考えていたら、あっという間にウォーキングから帰り着いていた。急遽開かれた記者会見の様子が続々とネットニュースにあがり始め、その会見も器用にこなして好感度を上げる、私がつい嫉妬してしまういつもの嵐がそこにあった。繰り返し繰り返し話し合いをして出された誠実な結論に、何かを言おうなんて気持ちは全くないけれど、発表から時間が経つにつれて、最初は驚いていたTwitterの人たちがどんどんこの事実を受け入れていくスピード感に自分はついていけてないことを実感した。

じゃあ何で嵐担でもなかった自分がこんなにもメソメソ嵐のことを考えているのか。それは、嵐が絶対的な存在としてジャニーズ事務所にいてくれたからこそ、安心して後輩グループを応援できていたからだった。後輩グループにとって目指すべき場所、憧れの存在がいてくれることの安心感。彼らが先導して作ってくれた道があったから、私たちは善悪の判断が出来ていた。向かうべき方向性を予習することが出来ていた。憧憬の対象がいなくなるということは、後輩グループにとってチャンスと読むことも出来るけれど、それよりもずっとずっと寂しいという想いが勝る。

10年以上ジャニヲタをやってきて、初めて嵐のファンクラブに入った。周りにいる嵐が好きだった子、嵐を好きになった子で、ファンクラブの入り方が分からないという友人の入会手続を手伝った。弟も入りたいというので、電話をして入会方法を教えた。私に出来ることは精々このくらいだけど、何かしら嵐に対する自分の気持ちを行動に移さずにはいられなかった。まだ気持ちがまとまっていないままだけど、きっとこれから新たなキャリアの選択を見届けることが本当に増えてくるのだろうなと思う。いつかそれが当たり前になってきて、こんな風にメソメソすることもなくなるのかもしれないけれど、記録としてここに残しておくことで、そうじゃない時代があったことを証明できる。

最後まで器用で完璧な姿に嫉妬させてくれ、嵐様。