悪い男エンターテイメントと健やかなチーム感 『SixTONES LIVE TOUR 2025 YOUNG OLD』

気づいたら大阪に来ていた。SixTONESのオールナイトニッポンにハマってからというもの(『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』が面白過ぎる - それは恋とか愛とかの類ではなくて)彼らのライブを一目見たいという想いは日々高まるばかりでこの想いを早く成就させたい、いやライブに行くにはもう少ししっかり彼らについて勉強してから向かうべきでは、と逡巡している間に今年のツアーの東京公演の日程はあっという間に過ぎていった。次の機会は来年か、それまでにSixTONESの知識を蓄えておくかと諦めかけていたとき、神戸に住んでいる小学校の同級生から「京セラのチケットあるけど行く?」と連絡が入る。えっ。あまりに軽やか過ぎる誘いに戸惑う。いや、こちとら住んでるのは東京なんですけど…というかもう公演の3日前なんですけど…今から交通も宿泊も手配しなければならないし三連休という世間一般的にも混み合いそうな日程でホテル探すのも大変そうなんですけど…そんな簡単に行けるなんて思ry……「行きます!!」気づいたらそう返信していた。良くも悪くも己のフッ軽精神が目を覚ましてしまった瞬間である。この機会を逃したら一生後悔してしまうかもしれない。「行かずに後悔より、行って後悔」と昔オタクの先輩方に教えていただいた格言を私は今も胸にしっかり刻んでいる。という訳で、2月下旬の3連休中日、私はSixTONESを見るために東海道新幹線に乗って大阪へ向かった。

SixTONESは京セラのメインステージに大きく聳え立つとっても立派な城の中から登場した。大蛇のソファに6人がただ立ち歌っている。私はアイドルがただ立っているだけでオーラを放ちその存在感の大きさを示す瞬間が大好きだ。SixTONES全員がただ前を向きマイクを持って歌っているだけで観客が沸き立ち、ニコリとした訳でもないのに、その小さな動き一つ一つによって、今この会場でリアルタイムでアイドルと私たちが空間を共有していることをじわじわと実感していくことが好きだ。昔KAT-TUNがライブのオープニングで「私は神だ」というつもりで登場しているという話をしていたけれど、まさに彼らもきっと今そういう気持ちで登場しているのだろうなと思わされるゴッドぶりだった。やがてその大蛇のソファは左右にゆっくり動き始めるのだが、ソファが左右に動くことの奇妙さと彼らの真剣なゴッドぶりが合わさって、ますます不思議な世界に紛れ込んでいく感覚を覚える。そして赤と白と黒のファーを纏った彼らの前からも後ろからも大火がのぼる。オープニングからしっかり燃やされている。しかし全く動じない彼らは、もはやこの国を牛耳り街を燃やす大富豪かの如く治安が悪かった。「治安が悪い」というのは悪い男エンターテイメントにおいて、かなり良い方の褒め言葉である。

この悪い男エンターテイメントにおいて今の日本では一番とも言える男たち、ドームにミステリーサークルを作っていた。しかも動くミステリーサークルだ。私はビスタ席から見ていたのでより高い位置からそれを確認した。センターステージには当初小さめのヘキサゴン型のステージがあり、そこの頂点から細長い棒状のムービングステージが伸びている。それらは曲の途中で動き出し、じわじわと変形を続けるとやがて大きなヘキサゴンを作り出す。その様は戦隊ヒーローたちがより大きな敵と戦うときにそれぞれのロボットを操縦して合体し、敵と同じ大きさの一つの身体になるあの瞬間と似ていて、私はSixTONESが大SixTONESへの進化を遂げるようでこの合体ヘキサゴンが好きだった。そしてこの合体の瞬間メインステージに聳え立つ大きな城もまたチカチカと色を変えてエネルギーを注いでいるようにも見えた。何年オタクをやっていても未だかつて見たことのないステージを見るのが大好きだが、SixTONESがまた新しい世界へ連れて行ってくれて嬉しかった。

悪い男&前代未聞エンターテイメントをやるSixTONESだが、事前にMCが長いと聞いていたため私はそれをとても楽しみにしていた。オールナイトニッポンのあのノリで笑えるトークを数分繰り広げたあと、当日放送していて全員で出演しているバラエティ番組『鉄腕DASH』を会場みんなで見ようという話になった。ドームでテレビ番組を見るなんてとても粋な計らいだな、それだけグループで一緒に番組に出るって大切なことなんだなと思っていたら、番組内でグループ初の冠番組スタートが発表される。しかも枠は日テレ日曜9時。会場は割れんばかりの歓声に溢れ、私は今日初めてSixTONESのライブに来たくせにその感動の波に呑まれ鳥肌が立ち泣いてしまった。日テレ日曜夜9時の枠なんて、更にお茶の間層に広く知ってもらえる場で、彼らが国民的アイドルの階段を駆け上っていく場所を手に入れた瞬間に立ち会えたことにものすごくグッと来てしまったのだ。後のMCで以前ゲストで番組に来た菅田将暉さんから「(SixTONESの番組の雰囲気は)嵐と接しているときと似てた」と言われたことを語っており、菅田将暉お墨付きまで貰っていて、もはやこれは怖いものなしである。

MCを明けたあとの切ないSixTONESも絶品だった。当初メインステージに聳える城はあまりに存在感が大き過ぎて、どんな曲をやっても城のイメージが強くて演出を食ってしまうのではないかと懸念していたのだが、オープニングでは“この国を牛耳り街を燃やす大富豪たち”だと思ったSixTONESも、『ここに帰ってきて』を歌っている時には、城の向こうに夜空に月が浮かんでいて、“毎晩のように愛する姫の帰りを待つ男”になっているのである。全然別人だし、街も幾分か平和になっているように見える(姫はいなくなってはいるが)。その後も城とSixTONESは、“この国で一番盛り上がる祭りの主催者”になったり、“超絶陽キャが集う巨大クラブハウス”になったり、“ここでしか手に入らないものが売られている繁華街”になったりと、一つの固定されたステージで様々な表情を見せてくれた。そして最後に大蛇はソファにとどまらず、海賊船にもなる。船の上でそれぞれが立っている場所は足場が悪く、今にも落っこちそうな不安定さがとてもリアルで、悪い男エンターテイメントの真骨頂を見た気がする。

とここまでド派手な演出の数々を書いてきたが、私はこの2ヶ月ほどオールナイトニッポンを聴いて周辺情報をかき集め、またリアルに彼らのライブを見たことで、改めてSixTONESのベースにある互いへのリスペクトが好きだなと感じた。彼らをよく知る前は男同士の内輪ノリが盛んなのではないかなどと勝手に思い込んでいたけれど、実際にはそれぞれがお互いを尊重し必要とし合っていて仲が良く同じ方向性を向いているように見えるところが、今の時代に求められるチーム感とマッチしていて改めて好感的に思えた。それが彼らが日テレ日曜夜9時枠に抜擢される所以なのだろうなと改めて思えた。次回私がSixTONESのライブに行こうとするときにはますます人気者になっていてもう手が届かない存在になっているかもしれないので、やはり今回思い切って遠征して良かったのかもしれない。でもまだまだ彼らの学習が足りないままに見た部分もあるのでもう少し知識を耕して改めてライブに臨みたい気持ちもある。オールナイトニッポンもまだまだ飽きずに聴き続けるだろうし、冠番組も楽しく見てしまうだろうし、何より見ていて気持ちの良い関係性は心が健やかになる。圧倒的な非日常と健やかなチーム感、これが私が見た初SixTONESライブの印象だ。