NEWS「チャンカパーナ」の歌詞を「オン・ザ・ロード」の訳者・青山南さんが認知していた話

ブログを書いていて今までで一番嬉しいことが起きた。はてなの通知機能に、ぽつんと昔私が書いた記事に対してある方からブックマークが行われた通知が届いていた。最近の記事ではなく過去の記事にブックマークが付くことはたまにあるのだが、遡って色んな記事に目を通して下さった方がいるのだろうと思いながら通知を開いたら、「本の雑誌10月号を読んでたら青山南さんがこのブログを紹介されててびっくりした」という内容のコメント付きだった。どういう風に紹介されていたのか詳細は書かれていなかったので、このコメントだけを読んで最初私は血の気が引く思いだった。私、何かやらかしていたのだろうか、と。ブックマークが付いていたのはこの記事である。

NEWSの「チャンカパーナ」の歌詞が「オン・ザ・ロード」の内容と似ている、というTwitter上での話題を見て、その比較をした記事だった。青山南さんとは、その「オン・ザ・ロード」の翻訳者である。
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昼休みにそのコメントを見た私は午後気が気でない状態で仕事を終え、急いで街の本屋に駆け込んだ。1軒目には「本の雑誌」が置いておらず、2軒目で見つけた。その場で該当箇所を探す為に目次を見る。「特集=日記は読み物である!」と表紙に書かれた「本の雑誌」2014年10月号の目次の中に、「美しい恋にするよ」というタイトルの青山南さんの文章があった。

ネットのなかをふらふらしていると思いもかけないものに出くわすことはよくあることだが、こないだ、ケルアックのことを調べてネットのなかを動いていたら、思いもかけないニュースにぶつかった。NEWSがケルアックを歌っているというのである。ジャニーズ事務所のNEWSが、である。え?なに?
(「本の雑誌」2014年10月号 南の話200「美しい恋にするよ」より)

という書き出しから始まり、まず青山さんは、この歌詞と小説のリンクの第一発見者であるDaichi Tanaka(@Daaaaa2)さん(現在はアカウント削除されている)のツイートを見つけた話を綴っていた。そこからそれに対するNEWSファンの反応やNAVERのまとめまで目を通され、実際にNEWSの「チャンカパーナ」を聴いてみたそうだ。

なるほど、ぼくの翻訳の言葉がほぼそのままつかわれている。「美しい恋にするよ」にいたっては、メンバー四人がそれぞれに情感をこめて歌う、というよりは、台詞のように語っていて、とても印象的だ。

ごくり、と唾を飲み込む。NAVERのまとめの中にもある通り、我々ファンが一番恐れていることは、「オン・ザ・ロード」の著者側がこれを盗作として指摘し「チャンカパーナ」という作品がネガティブな方向での脚光を浴びることだった。というのも、この「チャンカパーナ」と「オン・ザ・ロード」の類似関係、メンバー本人たちから言及されたことも今まで一度もなく、また作詞者Hacchin' Mayaさんからの解説を聞く機会もないまま、ここまで来ている。そもそもNEWS本人たちがこの類似関係を把握しているのかさえも分かっていない謎の事件となっていたが、翻訳者の青山南さんがネットで発見したくらいなので、やはりリリース時に承認をとっていた訳ではないことが分かった。青山さんの文章に目を通していく内にだんだんと緊張度が増してくる。一番大事なところはこれを受けた、青山さんの感想である。

うれしかった、というのが、それを聴いたときの最初の感想。
(中略)
訳文をつかわれた訳者自身の最初の感想は、うれしかった、というものである。

ほっ、と胸を撫で下ろした。青山さんがNEWSの「チャンカパーナ」を好意的に捉えてくださったことに安心して涙が出そうだった。そこから青山さんは版元の河出書房新社の社員の方に早速この大発見のニュースをメールで伝えたという。社員の方も全く知らなかったとのことで、咄嗟の反応は青山さんと同じく「NEWSが歌っているなんて、嬉しい」という反応だったそうだ。そして、それを受けて河出中が盛り上がり、他の社員が上述の私のブログ記事を見つけて来て、青山さんに報告したのだという。

「moarh」さんなる「25歳ジャニヲタ」のブログ。「NEWS『チャンカパーナ』の歌詞は、ジャック・ケルアックの不朽の名作『オン・ザ・ロード』のオマージュだった?!」という見出しのもと、『チャンカパーナ』の歌詞と『オン・ザ・ロード』の訳文を並べて、それはもうていねいに検証していたのである。日付は「Daichi Tanaka」さんの大発見から三日後の二月二十日。論考と言ってもいい素晴らしいレポートだ。
(中略)
NEWSのファンにもケルアックのファンにも、ぜひ読んでほしい名レポートである。

と私のブログを評して下さり、天にも昇る思いだった。ブログを書いていて今までで一番嬉しい出来事だった。元々の発見をしたのは「Daichi Tanaka」さんであり、私はそこから比較をしてブログを書いたまでだが、思いがけずご本人の目に止まり、「素晴らしいレポート」と評して頂けたことは、冥利に尽きる。

また「本の雑誌」で青山さんが「チャンカパーナ」のことを書いているということも、最初に私の記事にブックマークを付けて下さった方がいなければ知ることは出来なかった。ちなみにその方がブックマークコメントを付けて頂いた当時、その方の他のブックマーク内容を見に行ったが、私の記事しかブックマークしておらず、コメント欄を設けていない私のブログにこのことを知らせる為には、ブックマークにコメントを残すしか方法がなかった為、わざわざはてなidを取得されていたようである。そして私がそのコメントに気付いた現在は既にidごと削除済みである。伝えたかったことだけ伝えて綺麗に去っていくなんてかっこいい。この記事を読んでいるかは分からないが、教えて頂いて本当にありがとうございました。

青山さんの文章は最後こう閉じられていた。

ちなみに、「恋って大好き」の原文は「I love love」、「美しい恋にするよ、とぼくは約束した」の原文は「I promised her beautiful love」である。

「恋って大好き」の原文は「I love love」と「love」が二回繰り返されるものだったと聞いて、より一層このフレーズが好きになる。「チャンカパーナ」の歌詞について、ファンの間で心配されていたことが無事に晴れ、好意的に捉えて下さった青山さんの器の大きさに感謝である。

チャンカパーナ(通常盤)

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  • アーティスト:NEWS
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そして現在NEWSはまた「竹取物語」をモチーフにした新たなラブソングを提示している。彼らはこれからも物語を軸にしてラブソングを展開していくのか、今後も楽しみである。
KAGUYA【通常盤】

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※ブックマークコメントが付いていたのは2014年10月8日で、すぐにこの件を把握していたのですが、Twitterにしか書き留めていなかった為、今回改めてブログに残しておくことにしました。