今更ながらの『PRODUCE48』感想

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見終わってから1ヶ月経ってしまったが、今更ながら『PRODUCE48』の感想を書きたい。きっかけは韓国アイドル好きの義妹が『PRODUCE48』を見始めて宮脇咲良さんにハマったことだった。日本に住んでいながら韓国経由で宮脇さんのことを好きになるという新しいファンルート面白い、と思い私も見始めたのだった。

元々オーディション番組は日本にもあり、モーニング娘。を生んだ『ASAYAN』等が思い出されるが、『PRODUCE48』は審査員に選ぶ権利があるのではなく、視聴者である「国民プロデューサー」によって票が投じられデビューするメンバーが決定する。ファン投票型という意味では「AKB48選抜総選挙」とも近い。向こうはデビューメンバーを決め、こちらはシングルの選抜メンバーを決めるという点は異なれど、ファンに投じられる票の重さはどちらも計り知れない。韓国では視聴者によってデビューメンバーが決まる『PRODUCE48』が進んでいく中、同時期に日本では審査員の独断によってデビューメンバーが決まる『ラストアイドル』という番組が放送されていたことも興味深かった。見事な対比ぶりだが、どちらも秋元康が関わっている。

私が視聴し始めたのは9月に入ってからで、もうデビューメンバーが決定してしまった後だったのだが、見始めたら毎日が本当に楽しくて、久しぶりにこんな高揚感を味わった。何がどう楽しかったのかと言うと、とにかくデビューメンバーを絞っていくまでの過程の企画がよく練られていて、練習生たちが一つ一つのことを自分で選択していく度に、運命の鐘の音が鳴るような仕組み作りがされている。例えば番組側から出されたいくつかの課題曲を自分たちで選択し、グループ内でリーダーとセンターを決める。リーダーはグループを上手くまとめていかないといけないが、この時上手くまとめたからと言ってそれがテレビにピックアップされる訳ではない。グループのメンバーが上手くまとまらず思い悩むだとか何かしらのドラマがそこに生まれた方がピックアップされやすい。またセンターポジションは自分のことをアピールできる一番のチャンスのため、途中経過で下位だったメンバーが立候補する場面が多かったが、センターに立てたからと言って必ずランクアップが約束される訳ではなく、人より前に立つ分失敗も厳しく評価される。またグループの顔になるので、センターの子のパフォーマンスによって、グループ全体のパフォーマンス評価も影響を受ける。一つ一つの選択が自分だけではなく他の子の運命も変えてしまう、逆に言えば他の子の選択に自分の運命も変えられてしまう。そんなプレッシャーの中で彼女たちがどう立ち回っていくのか、真剣に見入ってしまった。

韓国のアイドル=高い技術力が求められる、というイメージが強くあった。番組の初回では、日本人の練習生が悉く低い評価を付けられていた。確かに韓国の練習生の方が歌ダンス共にレベルが高い。HKT48の子たちがトレーナーの前でパフォーマンスをした際に、トレーナーから技術について問われ「日本のアイドルはどちらかというと愛嬌があるかどうかで」というニュアンスの話をしていた。それを説明させられている状況に、私は日本のアイドル好きとして凄く胸が痛んだ。私たちが愛嬌のある子を愛でてきたばかりに、彼女たちが韓国でこんなことを説明させられているのかと。実力主義の韓国アイドル界厳しい。と思った矢先、NGT48の山田野絵さんがおどけたダンスを踊って会場を沸かせたことで、韓国のトレーナーが最高評価を付けようとした場面があった。彼女のスター性にかけてということだったが、この時に韓国のトレーナーが求めているものは単なる技術力ではなかったのだと感じた。結局はステージの上で光る何かを持っているのか、はたまたそれを出せるのか。韓国と日本のアイドル観に想像していた程の差はないのかもしれないと思った。私もこの山田野絵さんの場面は印象的で、実際にフリーダンスを振られたのはもう一人のNGTメンバー長谷川玲奈さんだったのだが、長谷川さんがどうしていいか分からず動けなくなってしまったのを見て、自分が代わりにおどけて踊ることで会場を沸かせたのだった。彼女の優しさが滲み出た良い場面だった。

個別評価の休憩時間に、トレーナーたちが「前回の番組では休憩時間に踊ってくれた練習生がいた」という話を始め、その場で曲が流れ始めるが、韓国アイドルの曲が流れば、韓国の練習生たちのほとんどが、その曲を踊ることが出来ていて驚いた。更に驚いたのがAKB48の『ヘビーローテーション』が流れても、韓国の練習生たちは戸惑うことなく、全員『ヘビーローテーション』を完璧に踊れてしまう。簡単な振付であるとは言え、『ヘビーローテーション』は必修科目なのか何なのか、その光景がとても不思議でびっくりしてしまった。日本のアイドルたちがTWICEの『TT』を踊れるような感覚と思えば良いのだろうか。一緒に見ていた義妹も驚いていた。

結果12人のメンバーが選ばれ、先日IZ*ONEという名前でデビューを果たしたのだが、日本人メンバーの3人はこの後しばらくはIZ*ONEの活動に専念することとなる。『PRODUCE48』が始まった当初はここまで大きな企画だと認識できていなかったのだが、これはAKB48の歴史の中でもかなり大きな出来事になると思っている。デビューはできなかったけれども、最後まで残っていた日本人メンバーには、海外の新しいファンがついたことで、今後の総選挙での票の伸び方も気になるし、何より整った環境で歌やダンスを学べたという収穫は大きい。まだまだ愛していきたいので、48グループに新しい風が吹いてくれたらいいなと思う。そしてデビューしたIZ*ONEも曲がめちゃめちゃ良いので、すっかり虜になっている。まだ推しは決まっていない。箱推し。韓国に行きたい。

最後に『PRODUCE48』の中で、私が特に好きだったパフォーマンスの動画を貼っておきます。

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かなり番組序盤だったけれど上位メンバーが集結していてパフォーマンスの完成度が高い。ウォニョンちゃんは神様の贈り物。

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ヘユンちゃんの歌が上手過ぎて、デビューして欲しかった。これ見てBoAの『メリクリ』ダウンロードした程好き。

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イエナちゃんの登場からしてかっこいいし、何てたって『好きになっちゃうだろう?』ヲタクが嫌いな訳がない。

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中毒性の高い『NEKKOYA』宮脇咲良さんのセンターが眩しい。AKB48楽曲でもっと彼女のセンターを見ておくべきだった。