DVD「Kis-My-Ft2 2014 Concert Tour Kis-My-Journey」

やっと書ける。やっとキスマイのツアーの感想が書ける。ツアー初日の名古屋に行っておきながら、まともな感想を書くことが出来なかったのには2つ理由があった。まず名古屋の座席、ジャニヲタ人生史上初めての「アリーナ最前列」というとんでもない幸運を引き当ててしまったというのがある。その爆発的な高揚感に包まれながらも、1番前という座席は、メインステージで行われていることは見やすいが、センターステージ及びバックステージで行われていることはとんでもなく見づらいということを学んだ。何が行われているのかよく分からないままに終わってしまったので、誰よりも近い場所で見ていたはずなのに、終わった後半分も理解出来ていない感覚が悲しかった。ドームは客席のペンライトの海も含んで見えるスタンド席が全体を見渡すのに向いている。もう1つの理由は、当時全体的なことを考えられない程、北山宏光さんに熱を上げていたことだった。東京公演に行ったらキスマイ担になってしまうという危険を察知して、東京行きをキャンセルしたくらいだった。誰か一人に入れ込むことはとても楽しいことではあるが、その分一歩引いた視点を失ってしまう。私の理想とする「冷静と情熱の間」の視点を欠いてしまうと思っていたが、当時よりはその熱量がやや落ち着いて来たので、やっとキスマイツアーの感想を書くに至った。ちなみに名古屋遠征から帰宅した直後のみっくんメロメロ記事はこちらである。笑おう。

まず今回のツアーの重要ポイントと言えば「メンバーのセルフプロデュース」である点が挙げられるのではないかと思う。ジャニーズのデビュー組はある程度コンサートの回数を重ねると、セルフプロデュースを行い始める。今回、衣装は藤ヶ谷さんと玉森さんと横尾さん、演出と映像は北山さんと二階堂さん、振付は千賀さん、お笑いコーナーの大喜利は宮田さん、と各メンバーに適した役割分担が行われている。セルフプロデュースを行うことで、自分たちへの理解をより深めていき、回数を重ねる度にその感覚が研ぎ澄まされていくのだが、今回のキスマイはセルフプロデュース初回ということで、デビューから3年経った現時点の自分たちをどう見せたいのか、彼らの力量というよりも現時点での感覚を探るステージになった。

とは言え今回のコンサート、私の個人的な肌感覚では統一した世界観を創るのが難しかったのではないかと思っている。というのも、ツアーの核となる3枚目のオリジナルアルバム「Kis-My-Journey」が、これまでの楽曲たちと雰囲気が異なり、また「Kis-My-Journey」の中でもそれぞれ色の異なる楽曲たちが集合したつくりになっていた。アルバム自体はそれで成立しているが、これをコンサートの中に散らばらせながら、全体の世界観を統一させるのはなかなか難しいのではないかと思っていた。アルバムを引っ提げたツアーとなると、やはりアルバム曲を軸にしてそこにこれまでの楽曲で肉付けをしていく作業になるのではないかと考えていたが、実際のキスマイはどうだったかと言えば、大胆に序盤はばっさりアルバム曲をカットして既存曲で勝負してきた。デビュー曲「Everybody Go」から始まり、「WANNA BEEEE!!!」「Kis-My-Me-Mine」等誰でも盛り上がる楽曲を序盤に詰め込んで、ようやくアルバムの表題曲「Seven Journey」が登場したのは「Overture」から数えると7曲目だった。アルバムでは「Seven Journey」に繋がる様に作られた「Overture」が「Everybody Go」に繋がった時は物凄い肩透かしをくらったが、これが「Kis-My-Journey」を生かしながらも自分たちのカラーを全面に出す為に編み出した“キスマイの答え”かと思った。
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そして終盤にはもう一発打ち上げる。「FIRE BEAT」「Take Over」で激しい特攻を使い、キスマイがデビュー前からの持ち味としていた大胆な攻めの姿勢を貫く。「Take Over」くらいの攻め楽曲が「Kis-My-Journey」に入っていたら良かったなと思う程、「Take Over」が全体を締める為の楽曲として、既存曲の中でも格別有能である。ただこの2曲に対する会場ファンの感覚を思い出してみると、「FIRE BEAT」のイントロで上がる歓声量が、他の楽曲と比較して極めて大きい訳ではなかったので、大量の新規参入に伴い「FIRE BEAT」がキスマイの代表曲だった時代は終わったのかもしれないと感じていた。彼らがデビューする前まではキスマイと言えば「FIRE BEAT」だとジャニヲタの中での共通認識があったと思うが、じゃあ現時点の新規ファンにとってのキスマイの代表曲または思い入れのある曲って何にあたるのだろうと考えたりしていた。

結果的に「Kis-My-Journey」は軸でありながらも、それらを中盤に置き、序盤と終盤を他の既存曲で固めることによって、これまでのキスマイのイメージを守るステージングになっていた。「Kis-My-Journey」というアルバムの楽曲を上手く使いこなすことが出来たらそれはそれで革新的なコンサートに仕上がりそうだったが、新規ファンが大量に増えている現在のキスマイに今特別な革命は必要なく、その新規ファンをどう定着させるかが重視されたのかもしれない。とは言え、まだセルフプロデュース1発目。ここをスタート地点として今後キスマイがどうやって自分たちを発展させていくのか、今後のコンサートに期待高まるツアーだった。

★前作DVD「Kis-My-Ft2 SNOW DOMEの約束 in TOKYO DOME 2013.11.16」感想