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映画「エイトレンジャー2」

映画「エイトレンジャー2」を見て来た。平日昼間なので空いているだろうと思って出かけた映画館は、ゴジラを見に来た夏休みの子供たちで溢れていた。小学校の時、紙粘土で自分だけの恐竜の貯金箱を作ってコンクールに出す、という催しがあって、各々カラフルでポップな貯金箱を作り上げていく中、私は何故かゴジラの貯金箱を作った。独創性がない為にそうしたのだと思うが、隣の席の友人もまた独創性がなく、私のものを真似したいと言うので、二人で全く同じ配色・形のゴジラの貯金箱を作った。コンクールに入選する気は更々なかったのだが、蓋を開けて見たら友人のゴジラだけ佳作に選ばれていた。展示会で友人の佳作の札を見た時、「個性」の大切さを学んだ。これが、今回特別書く必要はなかった、私とゴジラの思い出である。

前作「エイトレンジャー」は2012年に上映され、前作も映画館で一度だけ見た。初日の初回に見に行った為、関ジャニ∞のファンがほとんどで全員が初めて見るからこその一体感に包まれていた。今回は公開されてから一週間程で見に行ったので、恐らく複数回目の方が多く、観客のリアクションに前回程の新鮮さはなかった。けれどもストーリーは前作よりも分かりやすくなっていたように思う。関ジャニ∞全員の役名が本名と似た名前に設定されているものの、キャラクターは本人たちと似ているようで似ていないオリジナルなものである為、関ジャニ∞のファンでない方も彼ら自身の物語の文脈を知らなくても入りやすい。けれども要所要所にファンだからこそ分かるネタも組み込まれていたりして、ファンと非ファンのどちらにも偏らないバランス感覚が良かった。

今回はヒロインに前田敦子さんが抜擢されているという点もアイドルファンとして面白く見ることが出来た。前田敦子さんと関ジャニ∞と言えば、AKB48の第2回総選挙の頃に関ジャニ∞の横山さんが前田さんにハマっていて、自身のラジオでも総選挙の結果についてコメントしていたことを思い出す。第2回総選挙で大島優子さんに負け2位の座につくことになった前田さんについて、ここでまた前田さんは変わることが出来るんじゃないかという旨の話を横山さんが熱く語っていたことが、私の記憶に強く刻まれている。そんな前田さんが関ジャニ∞の映画に呼ばれてヒロインを演じている、という事実だけで楽しい。前田さんの役柄も、これまでの前田さんの繊細なイメージとは違って、男言葉を使う豪快な女性の役で、可愛いビジュアルと乱れた言葉遣いのギャップが好きだった。

今回はブラックとレッドのシーンが多かった。普段私の中でバラエティの印象の強い横山裕さんが、俳優としてスクリーンに映し出されるとそのあまりの美しさに毎回新鮮に驚く。透き通る様な白肌、筋の通った高い鼻、鮮やかに光る唇、他国の血が混じっている様に見える横山さんの美しい顔。それでいて演技面においても申し分のない程これまでキャリアを積んでいるので、大画面に出てきた時に全く違和感がない。最後、レッドの腕に抱かれて静かに目を閉じている横山さんの顔があまりに綺麗で、そのまま硝子の宝石箱にしまって一日中眺めていたいと思った。その一方で渋谷すばるさんもまた横山さんとは違った吸引力があった。渋谷さんの場合は、普段の渋谷さんのイメージから遠くかけ離れることはないが、顎に生やしている髭が何とも言えぬ芸術的な魅力を作り出していて、無表情にすらも味が出て来る。渋谷さんはそこに立っているだけで地球の膨大なエネルギーを吸い上げている様なそんな存在感がある。物語のメインを務めることが出来るメンバーは他にもいるが、この二人の組み合わせだったからこそ歪な友情に深みが出ていたように思う。

他にも特筆しておきたいことは、東山紀之さん演じるダーククルセイド総統で、関ジャニ∞の「エイトレンジャー」の世界観の中に少年隊の貴公子東山さんが放り込まれているというだけで、そのアンビバレント感に面白さを感じてしまう。しかも圧倒的に正しい生き方をしていそうな東山さんが悪役として登場することにも興奮する。左目を失い義眼を付け、杖をついて移動するダーククルセイド総統は、限りなく二次元のビジュアルだ。ニコリとも微笑まず悪に心を支配された東山さんもまた儚くて美しい。

グループ全員出演の映画はやっぱりファンにとっては大切な宝物になるので、各グループ記念の年に制作するという決まりが出来て欲しい。けれども関ジャニ∞が何年も前からコツコツと続けて来たコンサートでの下地があるからこそ出来上がった作品でもある為、何かひとつのことをやり続けていくことの大切さも思い知る。ヒーローになりたい、という小さい頃に男の子が描く夢を、アイドルになったその上で自分たちで具現化した関ジャニ∞のセンスが私は好きだ。これからも「エイトレンジャー」という素材でまだまだ遊べそうな可能性が広がっているので、ヒーローは永遠に私たちの前から消えないで欲しい。