パンケーキが好きなんじゃなくてパンケーキが好きな自分が好きという女の病

黄金色に焼きあがった生地にそっとナイフを入れる。ふんわりとした優しい感触。そこにフォークを刺し大して鋭くもない自分の舌の上へ運ぶ。口内で生地の温かさとクリームやアイスの冷たさが交差する。「美味しい♡幸せ♡」等と頬に手をあてながら、右手は既に次のひと切れを作っている。そしてまた口へ運ぶ。こうした作業を繰り返して我々はまた身体に不要な養分を蓄える。横には食べる前の写真がしっかりと収められたiPhoneを添えながら。

今年はアイドル現場に行く度にパンケーキを食べていた。事の発端はよく覚えていない。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」と書いた紀貫之と同じぐらいのモチベーションである。みんなが食べているパンケーキというものを、私も食べてみようと思って食べた。それだけのことだったはずのに、毎度毎度遠征をする度に食べるのが習慣になっているので恐ろしい。

せっかくなので今回は私が今年食べたパンケーキの記録を残しておく。ちなみに味音痴であるために、味の説明は出来ない。アイドルを語るためのボキャブラリーはあっても、パンケーキを語るためのボキャブラリーは極貧なので、「美味しかった」という小学校2年生と同レベルの感想しか綴ることが出来ないことを先にお許し願いたい。


  • 12/31「Johnnys' Countdown 2012-2013」の前に

ALOHA TABLE kaukau korner / アロハテーブルカウカウコーナー
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いきなり去年の暮れの記録で今年の記録じゃないじゃないかと言われそうだが、これが正真正銘私のパンケーキデビューである。巷で噂のパンケーキというものをいよいよ口に運べる興奮にこの時はパンケーキと一緒に自分の写真まで撮った気がする。ちなみにこの時の自分のツイートはこれである。「パンケーキ!パンケーキ!パンケーキ!」興奮のあまりパンケーキ以外の言語を失っていた模様である。

  • 5/5「HKT48『スキ!スキ!スキップ!』劇場盤個別握手会」の前に

パンケーキのお店 58cafe みなとみらい店 - 神奈川県横浜市 - カフェ | Facebook
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このお店ユニークだったのがクリームの量をお客様の好みの量に合わせたいという思いからか、パンケーキが出来上がったら目の前で店員さんがクリームをかけてくれ、「好きなタイミングでストップって言って下さい」と言われるのである。何そのシステム!楽しい!永遠にストップと言わなければどうなるんだろう、という好奇心が働いたが、大量のクリームを摂取して死ぬ訳にもいかないし、食べきれずに残してしまうのも迷惑な話なので、ちゃんと適量でストップを申告した。

  • 5/7「増田貴久舞台『STRANGE FRUIT』」の前に

Slappy Cakes | スラッピーケークス
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パンケーキ歴3軒目にして早くも手作りパンケーキのお店に来てしまったのである。生地もトッピングの組み合わせも全て自分の好みで選択できるというものの、過去にパンケーキを2回しか食べたことない自分に美味しいパンケーキが作れる訳もなく、ドライフルーツを乗せて美味しいと言うのが精一杯だった。作るという作業は楽しいが、写真におさめるととても地味。ここでパンケーキはフォルムも大切だということに気づき、パンケーキ学の奥にまた一歩踏み込んだような気になる。


  • 7/27「NEWS LIVE TOUR 2013」の前に

星乃珈琲店 オフィシャルサイト
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東京に住んでいる友人が「お前に食べさせたいパンケーキがある」というものだから、やれやれまたパンケーキかよと思いながら(ウソ、超楽しみにしてた)連れて行かれたのが、まさかの渋谷メンズ109。おいこんなところに美味しいパンケーキ屋があるのかよと思ったら、あった。これまで私が食べて来た生クリームやチョコやキャラメルソースたっぷりのパンケーキとは打って変わって、シロップとホイップバターのみというシンプルさ。そして生地が分厚い。食べた瞬間、これだーーーこれが私が求めていたパンケーキだーーー!!と渋谷ハチ公のまわりを回りながら吠えようかと思った。

  • 7/28「NEWS LIVE TOUR 2013」の前に

星乃珈琲店 オフィシャルサイト
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ハマったらとことん同じものを食べるで有名な私なので2日連続で星乃珈琲のパンケーキを食すことに。しかも2段に増えてる。まだ半分しか紹介してないけど、これがもうベストオブパンケーキ2013確定。えっじゃあもう他のパンケーキの紹介いらないって?まぁそう言わずに最後まで聞いてくれよ。

  • 8/8「AKB48 2013真夏のドームツアー ~まだまだ、やらなきゃいけないことがある~」の前に

WK HAWAII CAFE
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これまた大阪出張の経験がある友人が「お前を連れて行きたいパンケーキ屋がある」っていうものだから、やれやれまたパンケーキかよと思いながら(ウソ、超楽しみにしてた)ついて行ったのが、ハワイのパンケーキが食べれるというウィルズキッチンである。せっかくなのでメニューの中でもオススメされている「ハウピアマカデミアナッツバターミルクパンケーキ」を食べようと頼んでみたものの、これが全然自分の口に合わず初めてパンケーキを身体が拒否した。あんなにパンケーキのこと好きだったのに…私もう二度と…パンケーキのこと好きになれないのかしら…という悲劇のヒロインプレイまでするくらいに悲しかった。

  • 8/9「NEWS LIVE TOUR 2013」の前に

Taste the Difference | TULLY'S COFFEE
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翌朝にはタリーズでパンケーキと仲直りした。

  • 9/7「舞台『ANOTHER』」の前に

[東京・有楽町]cafe & books biblioteque|カフェ&ブックス ビブリオテーク
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これまで甘いものが添えられたデザート的なパンケーキしか食べて来なかったが、ここに来て初めてランチとしてのパンケーキを食した。甘い生地とベーコンやレタスやエッグは合わないのでは、と思いがちだがパンケーキの生地って意外と甘くないものが多い。少ししょっぱいくらいの生地がこの時はとても食べやすかった。

  • 10/14地元にて

ぐるなび - Oyatsu+(オヤツプラス)(高知市/ケーキ屋)
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今年の初めにはまだ地元高知には「パンケーキ」という文化が届いていなかったので、パンケーキを食すのは必ず遠征の時のお約束になっていた。しかしやっと地元高知にもパンケーキ文化が広がりつつあり、パンケーキを取り扱うカフェが増えてきている。都会でパンケーキにかぶれた私は地元の友達を連れ出して地元でのパンケーキ消費にも精を出し始めた。このへんまでくると写真の取り方もこなれたものである。

  • 11/5地元にて

サ・レイ Sa・Ray - 菜園場町/カフェ [食べログ]
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こ、これは…!私がベストオブパンケーキ2013に選んだ星乃珈琲のパンケーキと、クリソツではないか…!と震えながら食べた。小さな民家カフェで実際にメニューには記載されていないが、頼めば出してくれるパンケーキ。パンケーキはやはりこれぐらいスタンダードなものが一番であると改めて強く思った。

  • 12/12地元にて

カフェ ヒラク cafe hiraku - 高知/パンケーキ [食べログ]
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最も最近食べたパンケーキ。パンケーキはスタンダードなものが最高論を展開しておきながら、またしてもクリームやらアイスやらがたっぷり乗ったパンケーキである。しかもこの時同行していた幼なじみが生クリームが食べられないということで、彼女の分の生クリームまで食べたので、そろそろ自分の胃からクリームの過剰摂取で訴えられても私に勝ち目はない。

「パンケーキが好きなんじゃなくてパンケーキが好きな自分が好き」

という世の中の女性たちの習性を背後からグサッと刺したような言葉は、何かの雑誌に書かれてあった辛酸なめ子先生の言葉である。時には乗っかったクリームの圧力に屈しそうになる時もあれば、いまいち綺麗に平らげることが出来ずとっ散らかった状態でごちそうさまを迎える時もある。我々がパンケーキという食べ物に対して最も興奮している瞬間は、店員さんによってお皿が運びこまれる瞬間または運ばれてきたパンケーキを自分のカメラに収めている瞬間である。食後ではなく、食前である。宝石のような可愛い食べ物の写真が、データフォルダの中に増えていく感覚はとても楽しい。

なんて言うとパンケーキをおしゃれの道具として取り扱っているように聞こえるが、何軒か渡り歩いて自分の最も好きな味のパンケーキに出会えた時は、私の鈍感な舌でさえ幸福の絶頂を感じられる。食欲が贅沢に満たされていく。リピート欲を煽られる程のパンケーキに出会えた時は、大勢のアイドルの中から自分の好きな子を見つけた時の感覚に等しい。その時点でそのパンケーキは自分を飾るための道具ではなくなり、お金を出してもう一度味わいたい幸福体験に変わるのである。

来年もアイドル現場とパンケーキ現場で、生きるエネルギーを補充する。